Infinite dimensional geometry of Kac-Moody groups and integrable systems
Japan Society for the Promotion of Science:Grants-in-Aid for Scientific Research
Date (from‐to) : 2020/09 -2023/03
Author : 森本 真弘
本年度は当初,前年度に得られたKac-Moody対称空間やKac-Moody群と関連する研究結果を可積分系理論に応用することを計画していたが,COVID-19の影響が長期化したことならびに前年度の研究進展状況を総合的に鑑み,前年度に得られた研究結果の論文投稿,およびその結果の精密化に重点を置いて研究を行い,以下に述べる成果を得た.
近年の無限次元部分多様体論の発展に伴い,Kac-Moody群やその一般化であるKac-Moody対称空間という無限次元空間の実態が明らかになってきた.Kac-Moody対称空間のイソトロピー表現はP(G,U)作用と呼ばれるあるpath群作用により記述され,特にUがGの2つの対称部分群の直積であるとき,対応するP(G,U)作用はKac-Moody対称空間のイソトロピー表現と同値になる(Heintze-Palais-Terng-Thorbergsson).このpath群作用の各軌道は,固有フレドホルムという良い性質を満たす.報告者は,この設定の下で,P(G,U)作用の軌道の主曲率を研究し,更に軌道がオースティアな固有フレドホルム部分多様体となる条件を研究した.その結果,過去にC.-L. Terng,U. Pinkall,G. Thorbergssonらが導出した結果を統合・一般化する公式の導出に成功し,更にオースティアな固有フレドホルム部分多様体の具体例を多数構成した.本結果を1つの論文にまとめて投稿し,査読の結果,学術誌 Transformation Groups への掲載が決定した.
上記の結果に加えて,報告者は「path空間の標準同型」と呼ばれる概念を新たに導入し,主曲率やオースティア性に関する上記結果を,Kac-Moody群の場合へ定式化した.本結果は現在,1つの論文にまとめ,arXivにて公開しており,間もなく学術誌に投稿する予定である.