PETテクスチャ解析を用いた間質性肺炎合併肺癌術後急性増悪予測バイオマーカー開発
日本学術振興会:科学研究費助成事業
Date (from‐to) : 2020/04 -2023/03
Author : 室田 真希子; 久冨 信之; 山本 由佳; 西山 佳宏; 石村 茉莉子
間質性肺炎では肺癌合併の頻度が高い。しかし、間質性肺炎合併肺癌における手術療法では術後の間質性肺炎急性増悪が問題となり致死的である。これに対し、近年個々の患者の術後急性増悪発症リスクを予測のため、リスクスコアが利用される様になっており、リスク因子の一つがCTのUIPパターンである。本研究では肺癌術前検査として行われるFDG-PET/CT検査においても急性増悪の指標となり得るのではないかと考え、解析方法を考案した。
前回の検討に引き続きさらにさかのぼって検討し、我々は2016年1月~2019年8月の当施設における肺癌手術例にて18F-FDG PET/CT及び術前のthin-slice CTを含む胸部CTを施行した症例に関して間質性肺炎の有無に関してデータベース化した。間質性肺炎に関しては、UIPパターン, probable UIPパターン, Indeterminate for UIPパターン, Alternative Diagnosisパターンを分類した。その後、CTにてUIPパターン及び今回はprobable UIPパターンの間質性肺炎を認めた23例を抽出し、FDGの集積と間質性肺炎の臨床的指標との関連について検討した。検討不適例は除外し、最終的に男性13例、女性3例、平均76.3歳の16例を検討した。うちUIPパターンは12例で、probable UIPパターンは4例であった。
その結果では、UIP パターン及びprobable UIPパターンの間質性肺炎のすべて含めた検討において、%DlcoとFDG-PETのSUVmax(r=-0.782)及びSUVmean(r=-0.737)にそれぞれ1%未満で有意な相関が認められた。また、UIPパターンのみの検討でも、SUVmax(r=-0.790)及びSUVmean(r=-0.725)と%Dlcoはそれぞれ1%未満で有意な相関認められたが、probable UIPパターンは症例数が少なく解析ができなかった。