研究者データベース

寺林優 (テラバヤシ マサル)

        
    創造工学部 創造工学科 創発科学研究科 創発科学専攻 博物館 
  • 教授
Last Updated :2025/04/24

研究者情報

学位

  • 博士(理学)(東京大学)
  • 理学修士(筑波大学)

J-Global ID

研究キーワード

  • 地質学   Geology   

研究分野

  • 人文・社会 / 博物館学
  • 人文・社会 / 文化財科学
  • 社会基盤(土木・建築・防災) / 地盤工学
  • 自然科学一般 / 固体地球科学

経歴

  • 2018年 - 現在  香川大学創造工学部, 教授
  • 2011年04月 - 現在  香川大学博物館館長
  • 2011年 - 2018年  香川大学工学部, 教授Faculty of Engineering
  • 1996年 - 1997年  香川大学教育学部, 助教授Faculty of Education
  • 1997年  - 香川大学工学部, 助教授
  • 1997年  香川大学工学部創設準備室, 助教授Faculty of Engineering
  • 1994年 - 1996年  香川大学教育学部, 講師Faculty of Education
  • 1992年 - 1994年  香川大学教育学部, 助手Faculty of Education

学歴

  • 1991年04月 - 1992年03月   東京大学大学院博士課程   理学系研究科   地質学専攻
  • 1980年04月 - 1982年03月   筑波大学大学院修士課程   理工学研究科   理工学専攻
  • 1976年04月 - 1980年03月   富山大学   教育学部   中学校教員養成課程理科専攻

所属学協会

  • 日本博物科学会   博物科学会   アメリカ地質学会   アメリカ地球物理学連合   日本岩石鉱物鉱床学会   地盤工学会   日本鉱物科学会   日本地質学会四国支部   日本地質学会   Geological Society of America   American Geophysical Union   

研究活動情報

論文

書籍

  • 日本地方地質誌7 四国地方
    朝倉書店 2016年 ISBN: 9784254167870
  • 海洋底科学の基礎
    共立出版 2016年 ISBN: 9784320047297
  • Duplex structure and bottom boundary of the Sanbagawa high-P/T metamorphic belt. Fieldtrip Guide Book for ERAS International Workshop on "accretionary orogens and continental growth - from the perspective of global mass circulation" on 18 to 22, Septe・・・
    2006年 
    Duplex structure and bottom boundary of the Sanbagawa high-P/T metamorphic belt. Fieldtrip Guide Book for ERAS International Workshop on "accretionary orogens and continental growth - from the perspective of global mass circulation" on 18 to 22, September, 2006 at Kochi Japan

講演・口頭発表等

  • 日本初乾式縦型メタン発酵施設で実施した博物館ミュージアム・レクチャー  [通常講演]
    松本由樹; 町川和倫; 篠原渉; 川﨑淨教; 伊藤文紀; 寺林優
    第18回日本博物科学会 2023年06月 口頭発表(一般) 北海道大学博物館 大学博物館等協議会2023年度大会・第18回日本博物科学会実行委員会
  • 博物館機能に期待される「むきあう」姿とは何か?  [通常講演]
    永田裕美; 松本由樹; 伊藤文紀; 寺林優
    第18回日本博物科学会 2023年06月 口頭発表(一般) 北海道大学博物館 大学博物館等協議会2023年度大会・第18回日本博物科学会実行委員会
  • 顕微ラマン分光分析装置による天然アパタイト結晶と生体硬組織のアパタイト結晶の解析  [通常講演]
    第14回日本再生歯科医学会総会・学術大会 2017年 ポスター発表
  • 天然アパタイト結晶と生体硬組織のアパタイト結晶との比較-生体硬組織における標準試料の可能性を探る-  [通常講演]
    平成27年度高知大学海洋コア総合研究センター共同利用・共同研究成果発表会 2015年 ポスター発表
  • 天然アパタイト結晶を用いた骨補填材料の標準試料の可能性  [通常講演]
    第33回化石研究会総会・学術大会 2015年
  • 炭質物のラマン分析による四国中央部における三波川帯/四万十帯境界の研究  [通常講演]
    変成岩等シンポジウム2010 2010年 ポスター発表
  • 「モノ」の見方〜研究はじめの第一歩〜  [通常講演]
    丹羽佑一; 寺林優; 伊藤文紀
    平成22年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト実施報告書 2010年
  • 大学博物館のファシリティマネジメントに関する考察  [通常講演]
    第4回博物科学会 2009年
  • Micro-XANES Fe3+/ΣFe determination of omphacite inclusions in garnet from Dabie eclogites, China  [通常講演]
    8th International Eclogite Conference 2009年
  • コクチェタフ超高圧変成炭酸塩岩中のダイヤモンド包有ザクロ石の顕微ラマンマッピング  [通常講演]
    日本地質学会第116年学術大会 2009年 ポスター発表
  • Micro-XANES Fe3+/ΣFe determination of omphacite inclusions in garnet from Dabie eclogites, China  [通常講演]
    8th International Eclogite Conference 2009年
  • 大学と地域の連携を深めるための博物館づくりー香川大学博物館の構想から開館まで  [通常講演]
    第3回博物科学会 2008年

作品等

  • パブリック・ヒューマニティーズの方法論:学術標本資料ならびに文化資源のネットワーク型共同利用から創出される学術的専門知と公共社会との融和
    2008年 -2009年

MISC

  • 堤 之恭; 寺林 優; 磯崎 行雄 日本地質学会学術大会 123 T6-O-6 2016年09月
  • 1.調査概要, 2.地形・地質, 7.考察
    寺林優 大島自然環境等調査業務報告書 2015年03月
  • 2.屋島の地形と地質
    寺林優 天然記念物屋島調査報告書 2014年03月
  • 「さぬき自然史探求」実施報告書
    寺林優; 伊藤文紀; 守屋均 平成24年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト実施報告書 38頁 2013年02月
  • 讃岐ジオパーク構想
    長谷川修一; 鶴田聖子; 寺林優; 髙木知巳; 前田宗一 日本応用地質学会中国四国支部平成25年度研究発表会論文集 25-31 2013年
  • 衝突帯大断層流体の化学 : 台湾 Lishan 断層中の石英脈流体包有物の化学組成
    岡本 和明; 飯島 千尋; 黒澤 正紀; CHAN Y. C.; 寺林 優 日本鉱物科学会年会講演要旨集 2011 65 -65 2011年09月
  • 「『モノ』の見方?研究はじめの第一歩?」実施報告書
    丹羽佑一; 寺林優; 伊藤文紀; 守屋均 平成22年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト実施報告書 54頁 2011年03月
  • 「モノ」の見方〜研究はじめの第一歩〜
    丹羽佑一; 寺林優; 伊藤文紀; 守屋均 平成22年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト実施報告書 54頁 2011年
  • 「『モノ』の見方?研究はじめの第一歩?」実施報告書
    丹羽佑一; 寺林優; 伊藤文紀 平成21年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト実施報告書 57頁 2010年03月
  • S-48 放射光マイクロXANESによる中国大別山超高圧変成帯産エクロジャイト中のオンファス輝石のFe^<3+>/Fe^<2+>比測定((7)超高圧変成岩の微細解析の最前線,口頭発表,シンポジウム)
    寺林 優; 松井 隆; 岡本 和明; 小澤 大成 日本地質学会学術大会講演要旨 115 25 -25 2008年09月
  • S-47 Micro-XANES分析に基づく単斜輝石、ガーネット、金雲母の酸化還元状態((7)超高圧変成岩の微細解析の最前線, 口頭発表, シンポジウム)
    岡本 和明; 寺林 優 日本地質学会学術大会講演要旨 115 25 -25 2008年09月
  • S-57 領家帯に残された地質時代のブライトレイヤー((7)内陸地震の震源下限深度における岩石-流体相互作用 : 地質時代のブライトレイヤーから読み解く地殻内流体の挙動,口頭発表,シンポジウム)
    寺林 優; 山本 啓司 日本地質学会学術大会講演要旨 114 30 -30 2007年09月
  • S-47 四国中央部三波川変成帯の形成と上昇機構((5)プレート収束境界における岩石の沈み込み・上昇テクトニクス : 造山帯(変成帯)形成過程研究の新展開,口頭発表,シンポジウム)
    青木 一勝; 眞砂 英樹; 寺林 優; 金子 慶之; 岡本 和明; 山本 啓司; 太田 努; 丸山 茂徳 日本地質学会学術大会講演要旨 114 25 -25 2007年09月
  • O-159 北海道日高衝突帯南部幌満地域のテクトニクス(15.テクトニクス,口頭発表,一般講演)
    山本 啓司; 中森 夏美; 石川 正弘; 寺林 優; 金子 慶之; レーマン ハフィーズ ウル 日本地質学会学術大会講演要旨 114 140 -140 2007年09月
  • Competence contrat between pelitic schist and silicified pelitic schist in the Iwakuni–Yanai area of the Ryoke Belt, southwest Japan.
    Yamamoto, H; Terabayashi, M; Oasa, H; Kaneko, Y; Anma, R Journal of the Geological Society of Japan 110 119 -122 2004年
  • 三波川超高圧変成帯仮説--五良津エクロジャイト岩体の温度圧力構造と変成史 (総特集 変形岩・変成岩とテクトニクス)
    太田 努; 寺林 優; 片山 郁夫 月刊地球 25 (3) 227 -235 2003年03月
  • 金子 慶之; 寺林 優; 石川 正弘; 山本 啓司; 田端 寛和; 山本 純平; Long Ryu 日本地質学会学術大会講演要旨 2000 (0) 145 -145 2000年
  • The Daulet metamorphism : A contact metamorphism by solid intrusion of UHP-HP metamorphic slab
    TERABAYASHI M. Superplume International Workshop Abstracts, Waco, Japan, 1999 125 -126 1999年
  • リサ-チ 35億年前の付加体の実証 (特集:全地球史はどこまで解明されたか)
    椛島 太郎; 寺林 優 科学 68 (10) 751 -754 1998年10月
  • 磯崎 行雄; 椛島 太郎; 上野 雄一郎; 北島 宏輝; 寺林 優; 丸山 茂徳 日本地質学会学術大会講演要旨 1997 (0) 250 -250 1997年
  • 椛島 太郎; 磯崎 行雄; 丸山 茂徳; 寺林 優 日本地質学会学術大会講演要旨 1997 (0) 251 -251 1997年
  • 北島 宏輝; 寺林 優; 丸山 茂徳; 磯崎 行雄 日本地質学会学術大会講演要旨 1997 (0) 252 -252 1997年
  • 地殻下部の物理過程 世界の藍閃変成帯と上昇メカニズム
    丸山茂徳; 寺林優; 岡本和明 月刊地球 18 (3) 177 -184 1996年03月
  • 西オーストラリア・ピルバラ地塊ノースポール地域(3.5Ga)の海嶺熱水性鉱床
    角田 地文; 加藤 泰浩; 恒松 知樹; 寺林 優; 磯崎 行雄; 丸山 茂徳; 椛島 太郎; 小宮 剛; 鈴木 良剛 資源地質 45 (4) 256 -256 1995年08月
  • 椛島 太郎; 磯崎 行雄; 寺林 優; 角田 地文; 恒松 知樹; 鈴木 良剛; 加藤 泰浩; 丸山 茂徳; 小宮 剛 日本地質学会学術大会講演要旨 1995 (0) 238 -238 1995年
  • 角田 地文; 加藤 泰浩; 磯崎 行雄; 寺林 優 日本地質学会学術大会講演要旨 1995 (0) 238 -238 1995年
  • 磯崎 行雄; 小宮 剛; 丸山 茂徳; 木村 学; 寺林 優; 加藤 泰浩; 椛島 太郎; 角田 地文; 恒松 知樹; 鈴木 良剛 日本地質学会学術大会講演要旨 1995 (0) 239 -239 1995年
  • 寺林 優; 丸山 茂徳; 磯崎 行雄 日本地質学会学術大会講演要旨 1992 (0) 493 -493 1992年
  • 磯崎 行雄; 冨永 奈々; 竹下 浩征; 寺林 優 日本地質学会学術大会講演要旨 1991 (0) 302 -302 1991年
  • 寺林 優; 丸山 茂徳; 磯崎 行雄; 冨永 奈々; 竹下 浩征 日本地質学会学術大会講演要旨 1991 (0) 303 -303 1991年

受賞

  • 2020年11月 高松市 文化奨励賞(顕彰部門)
     
    受賞者: 寺林 優
  • 2019年04月 文部科学省 文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)
     
    受賞者: 寺林 優
  • 2018年07月 環境省 環境大臣表彰(第37回温泉関係功労者)
     
    受賞者: 寺林 優
  • 2016年11月 高松市 たかまつミライエ整備 感謝状
     JPN
  • 2016年09月 日本地質学会会 日本地質学会Island Arc賞
  • 2015年09月 Wiley社 Island Arc Most Downloaded Award
  • 2013年04月 文部科学省 文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)
     JPN
  • 2008年09月 日本地質学会 日本地質学会論文賞
     JPN

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 瀬戸内海沿岸域における津波堆積物の発見による南海トラフ巨大地震への対策
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2026年03月 
    代表者 : 寺林 優; 卜部 厚志; 酒井 英男; 金田 義行
  • エクロジャイト中のザクロ石包有オンファス輝石の微小領域状態分析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 寺林 優; 岡本 和明
     
    高圧及び超高圧変成岩は、プレート沈み込み帯深部の情報を記録しており、その形成条件は造山作用や大陸成長、地球の熱史等の解明に重要である。最近では沈み込んだスラブの年齢や速度、さらに地震発生メカニズムとの関連等も議論されている。電子線マイクロアナライザーによる変成鉱物の組成分析では、酸化物の重量%から陽イオン数を計算して各席に振り分け、Fe3+と Fe2+、端成分のモル比を求めており、それらは各元素の分析精度に強い影響を受ける。高圧-超高圧変成岩に特徴的に産する玄武岩類を原岩とするエクロジャイト中のザクロ石に包有されたオンファス輝石中の Fe3+/ ΣFe を放射光施設でのマイクロXANES(X 線吸収端近傍構造)法で直接分析した結果をもとに、顕微ラマン分光によるピークのラマン・シフトに分析試料に含まれる鉄の化学状態と関係がみられるかどうかを調べた。
  • 九州四万十付加体の精密地質構造解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 山本 啓司; 寺林 優; ハフィーズ ウル レーマン
     
    九州の四万十帯において地質構造に関する新知見を得た.北薩地域では玄武岩,チャート,泥岩からなる地層ユニットが覆瓦状構造を構成している.八瀬尾地域では蛇紋岩小岩体が砂岩・泥岩層の構造上位をほぼ水平に覆っている.長屋山周辺の四万十累層群は西傾斜で西側上位の同斜構造である.徳之島では低角傾斜のレンズ状蛇紋岩体が砂・泥質の変成岩の中に不連続に散在し,西海岸の秋利神川河口では泥質変成岩に厚さ 10 ないし 20cm の粉砕岩脈が貫入している.
  • ジルコンから読み取る沈み込み帯深部の脱水および融解過程
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 岡本 和明; 寺林 優
     
    上部マントルまで沈み込んだ海洋地殻物質である三波川エクロジャイトから部分融解組織を発見した。部分融解組織中に含まれるジルコンを分離し、形態、包有鉱物、成長組織を解析した。さらに成長組織と部分融解の時間的関係を明らかにするためU-Pb局所年代測定を行った。その結果、若い(暖かい)海洋プレートが沈み込む場合、海洋地殻は上部マントルに達すると雲母の分解に伴う部分融解を起こすことが明らかになった。
  • 地質時代のブライトレイヤーから読み解く地殻内流体の挙動
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 寺林 優; 山本 啓司; 岡本 和明; ハフィーズ ウル レーマン; 吉田 秀典
     
    地震波トモグラフィーによって,内陸地震の震源直上にコンピテントな領域,その直下に地震波速度が低くポアソン比が高い異常領域の存在が指摘され,その原因として流体の貯留が推定されている.地殻深部での流体挙動解明の鍵となるブライトレイヤーの実体,三次元的な分布および形成機構を低圧型変成帯において特定の変成度域にのみ珪化岩が出現することに着目し,その分布とそれを切る石英脈の特徴,それらの形成条件から明らかにした.
  • 香川県金山産サヌカイト製石器の広域流通システムの復元と先史経済の特質の検討
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2009年 
    代表者 : 丹羽 佑一; 小畑 弘己; 竹広 文明; 藤野 次史; 吉田 広; 寺林 優; 小畑 弘己; 竹広 文明; 藤野 次史; 吉田 広; 寺林 優
     
    金山のサヌカイト原産地遺跡の発掘調査で旧石器時代から弥生時代中期までの石器生産活動を明らかにした。金山での石器生産活動と消費地での石器生産活動の比較から、岡山県、香川県以遠の遠隔地への流通に専業集団を復元し、瀬戸内海の海運とともに金山産サヌカイト製石器の広域分布の要因とした。金山産サヌカイトの蛍光X線回折による成分分析を行い、東西南北4地域で区分されることを明らかにした。これによって、金山の各地域と消費地の石器生産活動の結び付きをより詳細に跡付けることができる。
  • 長周期地震動の破壊力予測と大型タンクのスロッシング抑制実験
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 野田 茂; 吉田 秀典; 寺林 優
     
    本研究では、2003年十勝沖地震時の長周期地震動特性を調べ、スロッシング挙動に及ぼす非線形性の影響を検討するとともに、巨大地震に伴う長周期強震動のシミュレーション手法を提案し、想定震源域における長周期地震動の破壊力を予測した。次に、タンクを対象に流体-構造連成解析を実施し、タンク側壁・浮屋根と内容液の挙動を定量的に分析した。提案したスロッシング抑制策の効果を検討した結果、その有効性が明らかになった。
  • チリ海嶺沈み込みと陸弧における火成活動の時空的変遷
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2004年 
    代表者 : 安間 了; 岩森 光; 折橋 裕二; 安仁屋 政武; 黒澤 正紀; 中野 孝教; 寺林 優
     
    本研究の目的は、チリ海嶺沈み込み帯近傍に露出するタイタオ・オフィオライトで沈み込む物質のキャラクタリゼーションを行い、海嶺沈み込みに伴って島弧における火成作用が時空間系列の中でどのように変遷してきたかを明らかにすること、海嶺沈み込み帯の深部構造を明らかにすることである。主な成果は以下の通りである。1)チリ南部のパタゴニアを中心に、5トンにおよぶ膨大な岩石試料を系統的に採取し、本地域に関しては世界一の岩石ライブラリーを構築した。2)古地磁気学的手法と構造地質学的手法を用いて、タイタオ・オフィオライトの定置過程を明らかにした。3)タイタオ・オフィオライトはN-MORBとE-MORBにまたがる幅広い組成を持つこと、同時代の島弧的な花崗岩類を付随することが確認された。また、中央海嶺近傍における海洋底変成作用が予察的に示された。4)パタゴニア火山ギャップの両端に位置する、ハドソン火山とラウタロ火山の詳細な地質と活動年代・組成の変遷を初めて明らかにした。5)アンデス南端火山帯に産出するいわゆるアダカイトの詳細な年代学的・地球化学的検討を行い、アダカイトの成因について、新しいモデルを提唱した。6)アルゼンチンの超背弧火山地帯を詳細に研究し、背弧火成作用の新しい成因を提唱した。7)陸弧に沿って2列あるいは3列にわたって、中新世以降の年代を持つ花崗岩類が分布することを認め、一部については年代と組成を明らかにした。8)海嶺沈み込みが生じている南緯46度付近を中心に60台の広帯域をカバーする地震計網を設置した(ケンブリッジ大学のプリーストリー博士と共同)。9)海嶺沈み込み帯における変形・流体移動モデルを構築し、地震波速度構造を予測した。
  • 超高圧-高圧変成岩の貫入による接触変成作用の研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2000年 -2002年 
    代表者 : 寺林 優
     
    カザフ共和国のコクチェタフ超高圧-高圧変成帯では石英の高圧相であるコース石だけでなくダイヤモンドまでもが最高変成部に広域的に出現し,最高変成温度は100℃以上にも達したことが知られている。それらの超高圧変成岩は著しい後退作用を被っているが,その原因として超高圧変成岩が上昇し地殻浅部に定置した際に周囲に熱変成作用を与えた結果,周囲の岩石から放出された流体相によるものであると考えられる。超高圧-高圧変成帯の上昇・定置によって周囲の地質体が被った接触変成作用の範囲,その結果放出された流体相の総量と組成の見積もり,さらに分離したジルコンのウラン-鉛年代値から超高圧変成作用の年代と地毅浅部に定置した際に周囲の地質体が被った接触変成作用の年代から,超高圧-高圧変成帯の上昇スピードを求めるのが目的である。 カザフ共和国コクチェタフ超高圧変成帯から採取した全試料のうろ,超高圧-高圧変成帯の下盤側の地質体から採取した約1000個について岩石薄片の顕微鏡観察による変成鉱物の組み合わせによって鉱物分帯を行った。さらに電子線マイクロプローブアナライザーによって造岩鉱物を系統的に分析し,実測した固溶体鉱物組成を用いて変成アイソグラッドの変成反応式を明らかにし、熱力学データベースを用いて温度圧力条件を求めた。また泥質岩起源の超高圧変成岩と接触変成作用を被った岩石からジルコンを大量に分離し,その中の鉱物包有物をレーザーラマン分光光度計によって同定した。
  • 西オーストラリアにおける地球最古生命の古環境の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2001年 
    代表者 : 丸山 茂徳; 加藤 泰浩; 寺林 優; 磯崎 行雄; 廣瀬 敬
     
    本年度は、西オーストラリア・ピルバラ地塊の東部、地球最古の生命化石が産するノースボール地域(35億年前)及び類似の岩石が産するクリバービル地域(30億年前)、27億年前頃の大陸棚堆積物であるストロマトライトとその周辺の黒色頁岩層が産するレッドモンド地域の系統的な調査と試料の収集を行った。 収集した試料は、岩石研摩片の作成、主成分・微量成分・希土類元素組成などの化学分析、地層のリズムの解析、年代測定、変成鉱物組み合わせの熱力学的解析、流体包有物の研究等を順次行った。以下に成果を挙げる。 1.微化石含有層は太古代の付加体の一部であることを実証した。 2 微化石含有層の物理化学環境を復元した。 3.微化石の記載を行った。それはシアノバクテリアではなく、化学合成細菌に酷似し、既(35億年前)に多様に分化していた。 4.海底下800mに至る地下生物圏を形成していたことが判明した。 5.30億年前の新たな微化石を発見したが、異常なほどに保存状態が良好である。 6.35億年前の浅海堆積物(巨大海台の頂部)から微化石を発見した。既に有光層(<50m)内部で生物は光合成をしていた可能性を見いだした。 7.27億年前のストロマトライト含有層の古環境の復元を完了した(2001年アメリカ地球物理学会で発表)。 8.27億年前の浅海から深海にかけての古環境復元と微化石の発見(球菌コロニー状)。 9.地球と生命の歴史の「要」的論文をまとめた。
  • 内陸型巨大地震の発生メカニズム
    研究期間 : 2001年
  • Generation mechanism of inland type huge earthquake
    研究期間 : 2001年
  • 太古代中央海嶺の熱水循環システムの研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1997年 -1998年 
    代表者 : 寺林 優
     
    西オーストラリ,ピルバラ地塊,ノースポール地域から採集した約3000個の緑色岩試料の顕微鏡観察と系統的な鉱物組成の分析から太古代の海洋底変成作用を明らかにした。 ノースポール地域の付加した海洋地殻は太古代約35億年前の海洋底変成作用の痕跡を残し,プレーナイト-パンペリー石相から,漸移帯をへて,緑色片岩相,緑色片岩相/角閃岩相漸移帯にいたる低圧型の変成相系列に属する。 ノースポール地域のプリューム起源火山岩類と顕生代のオフィオライトを比較した。層序ではノースポール地域でのコマチアイトの出現と玄武岩類の最上位に酸性火山岩が存在することが以外は似ている。変成作用では,いくつかの顕生代のオフィオライトにも見られることであるがノースポール地域では沸石相が欠如している。アクチノ閃石の出現深度は顕生代のオフィオライトでは火山岩類の最上位から約1/4-1/3であるが,ノースポール地域でも同様であることからノースポール地域は元々の火山岩類層の大部分が付加していると考えられる。このことは太古代のプリューム起源火山岩類は,顕生代のオフィオライトと海洋地殻の厚さにそれほど違いはなかったのではないかと考えられる。これは,太古代において海洋地殻が顕生代よりも厚かったのではないかという一般的な説とは異なる結果である。 海洋底変成作用には次の2つのタイプがあると考えられる。一つは中央海嶺起源のAMORM(Archean Mid-oceanic Ridge Metamorphism),もう一つはプリューム起源のAOIBM(Archean OceanicIsland Basalt Metamophism)である。この二つの海洋底変成作用の大きな違いは,関与した熱水の二酸化炭素分圧の違いであり,AOMRMでは熱水の二酸化炭素分圧が比較的高く,AOIBMでは熱水の二酸化炭素分圧が比較的低かったと考えられる。
  • 西オーストラリアにおける地球最古生命化石の探索
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1997年 
    代表者 : 磯崎 行雄; 加藤 泰浩; 丸山 茂徳; 伊藤 慎; 寺林 優
     
    ピルバラ地塊東部に位置する表題地域の太古代前期(約35億年前)の緑色岩帯に関する1997年夏の野外調査の結果、従来の解釈と大きく矛盾する多くの新知見が得られた。特に、かつて太古代の大陸地殻上で形成されたとみなされた緑色岩帯の諸岩石が、実際には海洋中央部の古海嶺でおきた堆積・構造運動の産物であること、また最古生命化石が古海嶺の熱水起源チャートから産することが判明し、初期生命の生息環境について初めて具体的な証拠を得ることができた。新事実:1)緑色岩および累重する層状チャートはいずれも海洋域起源の岩石であり、直接陸域から由来した陸源砕屑性堆積岩は含まれない。2)層状チャートの基盤である枕状溶岩は正断層系で支配され、断層面に沿ってTチャートと呼ばれる微晶質シリカ脈が貫入している。調査地域全体を通してTチャートの分布パタンは系に類似する。3)緑色岩を貫くTチャートは上位の層状チャートに移化し、シリカの供給脈をなす。4)1本のTチャートに対応して、ある量(厚さ)の層状チャートが堆積し、厚さ数10mに及ぶ層状チャートは数本のTチャート活動の複合産物である。5)層状チャート中には未固結時のスランプ構造や多様な脱水構造が普遍的に認めれる。6)最古バクテリア化石は層状チャート最上部の明灰色不透明チャートから産する。7)Tチャートおよび層状チャートの希土類元素パタンは強い熱水の関与を示す。考察・結論:1)本地域の緑色岩および層状チャートの多くは太古代海洋中の中央海嶺付近で噴出・堆積したものである。2)層状チャートは海嶺軸部の熱水活動域において急速に堆積し、未固結状態での局部的変形や脱水を被ったものであり、顕生代の遠洋深海起源の層状チャートとは全く異なる熱水起源チャートである。3)地球最古バクテリア化石は太古代の古海嶺軸部の熱水活動域に生息していた。
  • とる:岩石試料の組織的確保と基礎的な記載
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1997年 
    代表者 : 丸山 茂徳; 増田 俊明; 加藤 泰浩; 磯崎 行雄; 平田 大ニ; 寺林 優; 海老原 充; 椚座 圭太郎; 荒井 章司; 道林 克禎
     
    (とる班)地球史を区切る重要な時期である、(1)冥王代/太古代境界(40億年前)、(2)太古代/原生代境界(27-19億年前)、(3)原生代/顕生代境界(6億年前)、及び(4)古生代/中生代境界(2.5億年前)に焦点をあてて、これらの時期の地球変動を最も良好に保存していると思われる、(1)グリーンランド・イスア、(2)西オーストラリアピルバラ地域と南アフリカバーバートン及びジンバブエ地域、(3)ロシアアルタイ、及びナミビア地域、及び(4)岐阜県犬山地域の地質体の調査と試料の系統的な収集を行った。 収集した試料の一次記載と岩石学的・地球化学的な研究を行った。その結果、(1)生命の起源は39億年前に遡り、中央海嶺での熱水循環活動に関係して始まったこと、(2)35億年前の中央海嶺直上の、海水の厚さが1600m、その時の海水の組成が現在の約100倍の炭酸ガスを含んでいたこと、(3)39億年前のプレート収束過程とプレートの剛体度の計算からプレートテクトニクスが39億年前に遡ることを実証、(4)太古代の上部マントルの温度が現在よりも150℃高かったこと、また起源マントルの組成が現在(8wt%)よりも鉄成分に富んでいた(10wt%)こと、及び(5)超大陸分裂時のグローバルな酸欠事件を明らかにした。また、(中央海嶺玄武岩+水)の状態図をマルチアンビル装置を使って作成し、他方、地球史を通したプレート沈み込み帯の温度の歴史から、原生代と顕生代の境界事件が(6)海水のマントルへの逆流開始に因ることを指摘した。さらに超大陸が分裂する時に起きるグローバルな生物大絶滅が、(7)スーパーブルームによるもので、地球深部からの揮発性物質を大量に含んだマグマによる爆発的な火山活動が光合成の一時停止を引き起こしたことが原因であるとの提案を行った。
  • 西オーストラリアにおける太古代および太古代/原生代境界の広域変成作用
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 寺林 優
     
    西オーストラリアのピルパラ地塊の数カ所において,広域変成作用の研究を行った。 1,マ-ブルバ-地域(約35億年前)は中央海嶺起源の海洋地殻とプレート内火成活動による海台による付加体である。変成度はブドウ石-パンペリ-石相からパンペリ-石-アクチノ閃石相程度で,アクチノ閃石出現のアイソグラッドを引くことができた。 2,クリーバービル-コ-ボーン地域(約33億年前)は海洋地殻の超苦鉄質岩の層序までが付加している。変成度はブドウ石-パンペリ-石相から角閃岩相上部まで変化するが,変成分帯境界は地質構造と斜交することから,海洋底変成作用ではなく海洋地殻が付加した後の広域変成作用であると考えられる。 3,マウントロー玄武岩は約27億年前の洪水玄武岩で,かつてはピルバラ地塊全体を覆っていたと考えられる。変成度は分布地域によって異なり,ブドウ石-パンペリ-石相から緑色片岩相程度である。層序に対する変成度の変化はまだ明らかになっていない。 4,カプリコーン造山帯(約19億年前)はピルバラ地塊とイルガルン地塊との衝突の際に形成された造山帯の中核をなす広域変成帯である。その一部の地域での調査の結果,変成度は緑色片岩相から角閃岩相程度であるが,他の地域でパンペリ-石-アクチノ閃石相の鉱物組み合わせが観察されており,高圧中間群の変成相系列に属する変成作用を被った可能性がある。 変成鉱物の固溶体組成を測定したのは,上記の 2,の地域のみである。今後,他の地域で解析を進め,太古代の海洋底変成作用からプレート沈み込み帯での広域変成作用,さらに他の地塊との衝突の際の広域変成作用を明らかにする予定である。
  • メランジュファブリックとプレート相対運動の関係に関する研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1995年 
    代表者 : 木村 学; 寺林 優
     
    過去の付加体においてメランジュのファブリックが空間的時間的にどのように変化するのかを明瞭にすることによって、プレート相対運動の時間的変化の直接的情報を得ることを目的として本研究を行なった。本研究では西日本外帯の四万十帯を対象としてその有効性を検証した。四万十帯を選定する理由は 1)この付加帯はデコルマの運動を反映した初生的構造がその後の衝突などによって破壊されることなく残っていること、 2)白亜紀以降は演繹的相対運動の精度もよいことである 四国における調査研究の結果、四万十帯北帯と南帯付近において、メランジュのファブリックが左横ずれ成分を持つ南への衝上運動から,右横ずれ成分を持つ衝上運動へと急激に変化することが明らかとなった.この結果と演繹されているプレート相対運動を比較したところプレートの相対運動の変化に応じて、ファブリックが急激に変化していることが明瞭となった. また紀伊半島における四万十帯においてもファブリックが系統的に変化することが確認された.この地域においてはメランジュのファブリックに加えて,地図オーダーでのデュープレックス構造が確認され,付加体が底づけ作用によって形成される時の状態も良く,保存されていることが明らかとなった. 更に顕微鏡下において、これらの変形に関与した変形機構の検討の結果、これらの変形は初生的なものであり、デコルマに沿うプレート相対運動そのものであることが強く支持されことが分かった.今後、四万十帯の続成、変成作用を共に検討することにより、より表層での構造運動と対応させ、相対運動の変化を明らかにすることが重要である。
  • 北米西岸フランシスカン帯の変成熱構造
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 寺林 優
     
    フランシスカン帯のダイアブロ山地地域では高変成度のユニットが上下の低変成度のユニットの間に漸移帯を介して挟在し,アイソグラッドは地層面に平行な断層であり,その構造は高圧変成帯の上昇時に形成された2次的なもので本来の温度構造とは異なることを明らかにした。これについてはJournal of Geology誌に投稿中である。 リーチレイク山地域で採取済みの約300個の岩石試料の岩石薄片を製作した。砕屑岩類が約260個,緑色岩類が約40個,そのうち変形解析用の試料が約40個である。偏光顕微鏡による岩石薄片中の変成鉱物組み合わせによってヒスイ輝石帯(ヒスイ輝石+石英±曹長石)とヒスイ輝石が産出しない曹長石帯とに変成分帯を行った結果、高変成度のユニットが上下の低変成度のユニットの間に狭在する。ダイアブロ山地地域でみられた高変化成度のユニットと低変化成度のユニットの間の漸移帯の存在はみられなかった。アイソグラッドは地層面に平行な断層であることが明らかになった。高変成度のユニットの併置時の運動を明らかにするために,変形構造の解析を行った結果,高変成度のユニットが下位の低変成度のユニットの上に北東から併置したことが明らかになった。高変成度のユニットと上位の低変成度のユニットの境界部では明瞭な変形構造はみられなかった。その原因として境界断層沿いに蛇紋岩が貫入しているためではないかと考えることが出来る。 ヒスイ輝石帯内部の変成度の変化をより定量的に見積もるために,モードのヒスイ輝石/曹長石の比とヒスイ輝石の固溶体組成の変化とヒスイ輝石の固溶体組成を測定しているところである。また,変形の解析を行うことができなかった上部境界部でさらに定方位試料を採取し解析を行う予定である。
  • 西オーストラリア、ピルバラ地塊の太古代テクトニクス
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 磯崎 行雄; 寺林 優; 加藤 泰浩; 木村 学; 丸山 茂徳
     
    表題地域の西オーストラリア、ピルバラ地塊の太古代緑色岩帯には、塩基性火成岩起源の緑色岩と、それらに密接に伴った種々の太古代堆積岩類が産する。従来、これらの岩石は大陸性基盤の上に順次堆積・累重した現地性の堆積体をなすと理解されてきた。しかし、今回の国際学術研究計画による検討の結果、緑色岩体の地質体の多くが太古代の付加体であることが解明されてきた。ここでは、重点的に調査をすすめたクリーバビル地域、マ-ブルバ-地域、キャメルクリーク地域そしてノースポール地域における検討結果をまとめて報告する。 顕生代の付加体と同様、海洋プレート層序を保存した岩石・地層群が野外で認定され、またそれらの岩石・地層のなすデュープレックス構造が見い出されたことから、上記4地域の緑色岩帯の地質体が太古代の付加体の一部をなすことが初めて明示された。今回検討した地域以外のピルバラ地階緑色岩帯も同様の特徴を持つと予想され、太古代の緑色岩帯のほとんどは過去の海洋プレート沈み込み型造山帯をなすと理解される。 一方、顕生代および太古代の付加体の相違点として以下の諸点が明らかになった。1)太古代付加体中には、厚い緑色岩ユニット、特に顕生代では極めてまれな厚いMORBが、特徴的に産する。2)太古代付加体中には顕生代には例のないコマチアイトがかなり頻繁に産する。3)太古代チャートの多くは層状であるが、顕生代チャートのような泥質薄層を挟むものは認められない。また、しばしば大量の鉄鉱層(BIF)やバライトなどの金属鉱床を下部層準に伴う。4)太古代付加体中の陸源粗粒砕屑岩の量は少なく、中にはほとんど含まれない例もある。この点は大量の砂岩・泥岩からなる顕生代付加体とは極めて対照的である。これらの相違点は、太古代当時の海洋プレートの構成(厚さ、内部構造)が顕生代のものと本質的な違いを持っていたことや、まだ十分に大陸が成長していなかったことに由来すると考えられる。また鉄やバリウム等の金属あるいは珪素の、当時の地球表層における存在度や循環パターンの違いが堆積物の特徴に反映していると推定される。 また、上記4地域の太古代付加体はほぼ同時期(約33-35億年前)に形成されたと考えられるが、それらを相互比較すると次のような明瞭な相違点が認められる。クリーバビル付加体は、MORB緑色岩・BIF+チャート・粗粒砕屑岩から構成されるユニットが繰り返し累重したスライトパイルをなす。その緑色岩の化学組成が顕生代のものより鉄に富み。またそれは調和するように上位にBIFを伴うが、3地域の例の中ではよく保存された海洋プレート層序をもち、最も顕生代付加体に類似する。これに対し、マ-ブルバ-・キャメルクリーク付加体にはコマチアイト岩体が伴われたり、また50m厚の層状チャートは全く鉄鉱層を伴わないものの、その化学組成は熱水との強い関連を示唆するなどの個性が認められる。さらに、ノースポール付加体については、Tチャートと呼ばれる脈に密接したバライト鉱床を層状チャートの最下位に伴うこと、強い熱水変質を受けた緑色岩を産すること、および明瞭な陸源粗粒砕屑岩はほとんど含まれないことなど、前2者のどちらとも異なる特徴をもつ。このような太古代付加体がもつ多様性は、顕生代のそれよりも大きい。おそらく付加に関与した2枚のプレート上面の起伏や構成物の多様性、そして太古代の付加プロセスの特異性に由来するのであろう。クリーバビル付加体は、厚いMORBと直上の海嶺熱水堆積物がタ-ビダイトとともに付加したもので、底付け作用が深いレベルまで及んだことを意味している。これに対して、マ-ブルバ-とノースポール付加体は、MORBよりも、むしろ海洋プレート上の突起物としてのホットスポット海山や海台起源の緑色岩の大量付加を意味しているのかもしれない。 以上のように、本研究によって従来の太古代造山帯に関する理解・知識を一新することができた。今後これらの成果の英文での公表に勤めたい。最後に本研究を支えて下さった当局の御理解に感謝する。
  • プレート収束域のテクトニクス
  • Tectonics at the subduction zone

委員歴

  • 2018年11月 - 現在   高松市   歴史資料館等協議会委員
  • 2016年11月 - 現在   高松市   こども未来館運営協議会委員
  • 2011年05月 - 現在   かがわ宇宙教育推進協議会   副会長
  • 2011年04月 - 現在   日本博物科学会   理事   日本博物科学会
  • 2009年05月 - 現在   日本博物科学会   会員   博物科学会
  • 2007年09月 - 現在   日本鉱物科学会   会員   日本鉱物科学会
  • 2005年12月 - 現在   日本地質学会四国支部   幹事   日本地質学会四国支部
  • 2004年01月 - 現在   日本地質学会   Island Arc編集委員
  • 2002年05月 - 現在   香川県   環境審議会委員
  • 2001年11月 - 現在   日本地質学会四国支部   会員   日本地質学会四国支部
  • 2001年05月 - 現在   宇宙少年団香川小惑星分団   顧問
  • 1992年05月 - 現在   アメリカ地質学会   会員   アメリカ地質学会
  • 1984年02月 - 現在   日本地質学会   会員   日本地質学会
  • 2021年04月 - 2023年03月   日本博物科学会   会長
  • 2014年12月 - 2016年10月   高松市   こども未来館(仮称)展示設計用務に係る監修員
  • 2014年04月 - 2016年03月   魅力ある屋島再生協議会   文化財保存・活用部会委員
  • 2013年07月 - 2016年03月   高松市   こども未来館管理運営検討懇談会委員
  • 1991年12月 - 2012年12月   アメリカ地球物理学連合   会員   アメリカ地球物理学連合
  • 2004年09月 - 2012年09月   日本地質学会   代議員   日本地質学会
  • 2001年04月 - 2011年03月   地盤工学会   会員
  • 2010年04月 - 2010年09月   日本地質学会   第117年学術大会(富山)シンポジウム, コンビーナ
  • 2008年05月 - 2010年03月   日本地質学会   Island Arc, Guest Editor
  • 2008年04月 - 2008年09月   日本地質学会   第115年学術大会(秋田)シンポジウム コンビーナ
  • 1985年04月 - 2007年08月   日本岩石鉱物鉱床学会   会員   日本岩石鉱物鉱床学会
  • 2002年05月 - 2005年05月   地盤工学会   四国支部幹事   地盤工学会

その他のリンク

researchmap



Copyright © MEDIA FUSION Co.,Ltd. All rights reserved.