去勢抵抗性前立腺癌の骨転移治療における骨転移定量評価を目指す研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2018年04月 -2021年03月
代表者 : 田中 賢一; 杉元 幹史; 久冨 信之; 山本 由佳; 西山 佳宏; 則兼 敬志
去勢抵抗性前立腺癌の骨転移に対する内照射治療としてRa-223(ラジウム)を用いた治療が可能になった。Ra-223を用いた内照射治療はアルファ線を用いた新しい治療法であり、どのような患者に最も効果が期待されるのかなどは十分に検討されていない。PET検査や骨シンチグラフィの評価は進歩し、画像バイオマーカー算出が可能となり、最近では体積評価や活動性評価を用いた方法が普及しつつある。
今回の研究目的は、骨転移を定量的に評価出来る画像バイオマーカーを開発し、去勢抵抗性前立腺癌骨転移の内照射治療の効果予測や治療効果判定に応用し、その有用性を明らかにする事である。
骨代謝を評価する核医学画像診断としてF-18 sodium fluoride (NaF) PETと骨シンチグラフィがある。PET検査の利点はStandardized uptake value(SUV)のような定量評価が行えることである。最近では骨シンチグラフィでもGI-Boneといった骨転移診断ソフトを用いて骨転移巣をBone uptake value(BUV)として定量評価できるようになってきている。しかし、GI-Boneを用いたBUVを算出するために、正常像での骨集積を評価する必要があり、また、GI-BoneのBUV値が、F-18 NaF PETのSUV値と相関関係があるか否かを明らかにする必要がある。
今年度はGI-Boneの正常BUV値を求めるための基礎的検討を行った。また、骨転移を有する前立腺癌患者において、F-18 NaF PET/CTと骨SPECT/CTの視覚的な比較を行った。両者の比較では、F-18 NaF PET/CTと骨SPECT/CTはほぼ同じであったが、小さな骨転移描出においてはF-18 NaF PET/CTの方が骨SPECT/CTよりも優れていた。