アリ類のコロニー内栄養循環における栄養卵の機能と意義
日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2023年03月 -2025年03月
代表者 : 伊藤 文紀; KHALIFE ADAM
ヨナグニアシナガアリとアシナガキアリを対象に、栄養卵の消費のされ方と、繁殖卵と栄養卵のタンパク質量を測定した。2種ともに、先行研究と同様に、栄養卵は主に幼虫に与えられたが、コロニーによっては女王も摂食した。2種ともに、栄養卵のほうが繁殖卵よりもタンパク質の割合が高かった。この結果は、働きアリが産む栄養卵は栄養分に富み、幼虫の成長や女王アリの卵生産に重要な役割を果たしていることを示している。これらの結果を、マレーシアで開催されたアジア・アリ類研究国際ネットワーク(A-net)の大会と、仙台で開催された日本昆虫学会・応用動物昆虫学会合同大会で口頭発表した。繁殖卵と栄養卵の脂質と炭水化物量の測定はできなかったが、残り期間で実施する予定である。ヨナグニアシナガアリの観察中に、形態が女王と働きアリの中間的特徴を示すインターカストが5コロニーで合計7個体生産されていることを発見した。これらの個体の形態的特徴を詳細に観察し、働きアリ・女王アリと比較した。インターカスとは、いずれも受精のうを持つものの、そのサイズは小さく、機能的ではないと考えられた。各部位の大きさは、個体によって様々で、女王的形質と働きアリ的形質の発現様式は多様であった。これらの結果にもとづき、コロニーにおけるこれらの異常な表現型のモジュール化された発達について議論し、アリの進化におけるインターカストの潜在的な役割について考察した。