腫瘍増殖能とテクスチャ解析に着目した膵癌のPET分子イメージング研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 奥田 花江; 山本 由佳; 西山 佳宏; 大島 稔
切除可能境界膵癌では術前補助療法が切除率を向上し予後改善につながる可能性があるとされ、当院でも多くの症例で補助療法を実施している。しかし、術前補助療法を行ってもその効果がある症例と乏しい症例を経験し、予後推定などさらなる精度向上が求められる。18F-FLT(FLT) PET検査では腫瘍組織の増殖能の評価が可能である。膵癌のPET検査で腫瘍増殖能の病態評価を行い、糖代謝の評価が行える18F-FDG (FDG) PET検査と比較検討することで、病理学的・臨床的判断の向上が得られる事を明らかにする。
膵癌の術前化学放射線療法前後で、FLT PETを施行し、組織学的効果判定と比較した。膵癌で術前短期間化学放射線療法の前後にFLT PET/CTを施行し、治療前検査で異常集積のみられた5例を対象とした。FDG PET/CTも施行した。原発巣のSUVmaxを測定し、治療前後のSUVmaxの変化率を算出した。組織学的効果判定は、膵癌取扱い規約第7版に基いた。治療前FDG PETで、一例が高血糖下検査のため除外した。組織学的効果判定基準では、Grade 1bが2例、Grade 2が3例であった。FLT、FDGともに、治療後SUVmaxは治療前と比べ全例低下した。Grade 1bと2は、治療後のFLT SUVmaxが2、FDG SUVmaxが4で区分された。治療前のSUVmaxや治療前後のSUVmax変化率には一定の傾向はみられなかった。