先進内視鏡手術における執刀医のニーズに応えた「内視鏡知覚センシング技術」の開発
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究期間 : 2017年04月 -2021年03月
代表者 : 高尾 英邦; 前田 祐作; 岸野 貴賢; 森 宏仁; 藤原 理朗
今日,一層の低侵襲化と高度化が求められている内視鏡医療の発展に向けて,本研究では内視鏡下の手術において執刀医が求める様々な知覚情報を治療器具上に集積したセンサで取得・表示する「内視鏡知覚センシング技術」を開発し,医師が患者体内の状況や触診で得る情報を内視鏡下で取得しながら安全に手術を行なう「触診内視鏡手術」の実現に向けた異分野融合型研究を推進している。
令和元年度は,高解像度カメラを有する軟性内視鏡の先端部に装着可能な完全無線型力覚センサの開発を進めた。軟性内視鏡のカメラ画像からセンサ表面の色相分布を取得し,X,Y,Z軸で独立した入力を取得する原理を実証することに初めて成功している。本技術は光学的にセンサ表面に現れる情報の画像観察のみで計測を可能としており,3次元の力覚入力を無給電,無配線の完全無線状態で実現する全く新しい技術である。
一方,腹腔鏡手術に向けたセンサデバイスについては,模擬臓器を用いた実証実験の実施に成功した。昨年度に開発したパッケージに実装した超小型の「滑り触覚センサ」を腹腔鏡鉗子先端の把持部分に装着し,模擬臓器の把持と滑りが生じた際の出力を取得する実証実験を行った。その結果,把持臓器上の把持力力分を正確に取得できた。また,把持されている模擬臓器が滑りの状況下にある際に,その把持力分布の変化から臓器の把持滑りを認識することが可能であった。この把持力分布の変化による滑りの知覚は人間が指先で把持対象の滑りを認識するときの原理に近いものであり,従来にはない新しいセンサの検出原理である。
次年度は,ここで実証されたデバイス技術の有効性や有用性について執刀医と共に実証を重ね,より高機能かつ高性能な知覚センシングシステムの開発につなげる。