研究者データベース

和田健司 (ワダ ケンジ)

        
    医学部 医学科 インターナショナルオフィス 
  • 教授
Last Updated :2025/04/24

研究者情報

学位

  • 博士(工学)(京都大学)

J-Global ID

研究キーワード

  • グリーンケミストリー   触媒   医用化学   Green Chemistry   Catalysis   Chemistry for Medicine   

研究分野

  • エネルギー / 地球資源工学、エネルギー学
  • ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学) / 触媒プロセス、資源化学プロセス
  • ライフサイエンス / 生物有機化学
  • ナノテク・材料 / 構造有機化学、物理有機化学

経歴

  • 2021年04月 - 現在  香川大学学長特別補佐
  • 2010年 - 2013年  京都大学大学院工学研究科准教授
  • 2013年  香川大学医学部教授
  • 2003年 - 2010年  京都大学大学院工学研究科講師
  • 1992年 - 2003年  京都大学工学部助手

学歴

  •         - 1992年   京都大学   Graduate School, Division of Engineering
  •         - 1992年   京都大学   工学研究科   石油化学
  •         - 1987年   京都大学   Faculty of Engineering   Department og Hydrocarbon Chemistry
  •         - 1987年   京都大学   工学部   石油化学

所属学協会

  • アメリカ化学会   ケイ素化学協会   日本エネルギー学会   石油学会   触媒学会   日本化学会   Japan Association of Zeolite   Japan Sol-Gel Society   The Society of Silicon Chemistry Japan   Kinki Chemical Society   Japan Energy Institute   Japan Petroleum Institute   Catalysis Society of Japan   American Cjemical Society   Chemical Society of Japan   

研究活動情報

論文

書籍

  • 触媒の設計・反応制御 事例集(分担執筆) かご状シルセスキオキサンを活かした固体触媒の調製と高活性化
    技術情報協会 2013年

MISC

産業財産権

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 水素社会構築と持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献する触媒的有機反応群の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 藤田 健一; 和田 健司; 森崎 泰弘
  • 特異表面サイト上金属種の挙動制御による水素製造・低環境負荷有機合成用触媒の創製
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 和田 健司; 馮 旗; 藤田 健一; 原 賢二
  • ステルスマルチスリットによる中赤外パッシブ分光イメージング
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 石丸 伊知郎; 和田 健司; 岡崎 慎一郎
  • 非侵襲血糖値センサーの実現を目指した超音波アシスト中赤外分光イメージング
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 石丸 伊知郎; 和田 健司; 西山 成; 田中 直孝
     
    マウスの耳の下に超音波振動子(周波数:800kHz、印加電圧:10V)を設置してパラメトリック定在波を生成した。音響インピーダンスマッチングとして、耳と振動子の間に寒天を挟み込んでいる。超音波を加えていない状態での耳内部からの反射光と超音波パラメトリック定在波を生成した状態での耳内部からの反射光の中赤外分光計測を比較した。グルコース起因の吸収ピーク(@9.25マイクロメーター、9.65マイクロメーター)は、超音波OFFの状態では観察されなかった。しかし、超音波パラメトリック定在波を生成した場合は、吸収ピークを安定的に観察することに成功した。
  • 固体表面上での動的有機金属化学の展開と環境対応型固体触媒の創成
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2020年03月 
    代表者 : 和田 健司; 馮 旗; 吉田 朋子
     
    本研究では、固体結晶表面上の有機金属種の動態制御による環境対応型高性能固体触媒を開発した。 脱水素型ベンゾイミダゾール類合成反応に有効なルチル担持Ir触媒、および水素移動型反応に有効な{010}/{101}面を豊富に有する酸化チタン担体Ir触媒を開発し、担体へのリン修飾の有効性を示した。一方、スチレン類の脱水素シリル化反応に対して、高活性、高選択性を示すイリジウム錯体・酸化セリウム複合触媒を開発した。さらに、炭素-炭素多重結合のヒドロアリール化に対して有効なHCHOおよびPPh3処理Ru/CeO2触媒を見出し、近赤外分光イメージング法による反応生成物の迅速解析の可能性を示した。
  • 欠陥導入型金属酸化物の特異な担体機能を活かした物質変換触媒の創製
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2015年03月 
    代表者 : 和田 健司; 細川 三郎
     
    本研究では、金属酸化物担体の機能を活かした新規有機合成用固体触媒の開発を試み、o-フェニレンジアミンと第一級アルコールからの脱水素型ベンゾイミダゾール類の合成反応に有効な金属酸化物担持イリジウム触媒を開発した。本触媒の活性は顕著に担体に依存し、酸化チタン担持触媒が特に有効であった。従来の金属錯体触媒では200 ℃程度の反応温度を要するのに対し、本触媒を用いた場合には120 ℃あるいはそれ以下の低温度領域で円滑に反応が進行する。高分散した2 nm以下のゼロ価イリジウムナノ粒子の形成が、高活性の原因と推察される。さらにソルボサーマル法によって六方晶希土類鉄複合酸化物を調製した。
  • グリーン有機合成プロセスのユビキタス化を指向した環境対応型固体触媒の創製
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 和田 健司; 細川 三郎
     
    本研究では、広範な有機合成プロセスの環境負担低減が期待できる固体触媒の開発を検討した。その結果、スチレン類の直鎖選択的二量化反応やアルキンのヒドロアシル化反応に有効なルテニウム触媒を開発した。また、ビニルシラン類のシリルカップリング反応に有効な、ホスフィン共存下で還元処理を施したRh/CeO2触媒や、ホルマリン処理Ru/CeO2触媒を開発した。さらに、イリジウム錯体にセリアを添加する手法によって、ヒドロシランによるアルケンの脱水素シリル化反応に優れた活性・選択性を示す固体触媒が調製できることを見出した。一方、六方晶希土類鉄複合酸化物REFeO3を調製した。
  • 二酸化炭素の再資源化によるグリーン・イノベーションへの挑戦
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 近藤 輝幸; 和田 健司
     
    本研究では、二酸化炭素の再資源化による有機合成への有効利用を目的として、二酸化炭素と等電子構造のケテンを原料とするアルキン、一酸化炭素との分子間 [2 + 2 + 1] 共付加環化反応による 2-フラノン合成法の開発、および二酸化炭素から容易に誘導可能なホルムアミドを C1 源とする 2-アミノベンズアミドとの反応による 4(3H)-キナゾリノン誘導体の触媒的な革新的合成法を開発した。いずれの反応も、将来的に、二酸化炭素を直接原料として利用する新反応に発展すると考えられる。
  • 医学応用を指向した新しい分光分析機器の開発
    研究期間 : 2013年
  • Development of new spectroscopic apparatus for medicine
    研究期間 : 2013年
  • 固体表面と金属錯体のシナジーを活かした高度触媒機能の創発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 和田 健司
     
    より環境負荷やエネルギー消費の小さな有機合成プロセス開発の鍵となる環境対応型の新触媒の開発は、重要な課題である。本研究では、第一級アミンと 1,4-ブタンジオール等のジオール類間のモノアミノ化反応による直鎖アミノアルコール合成反応に有効な金属酸化物担持イリジウム触媒を開発した。一方、チタン含有シルセスキオキサンとシリカを組み合わせた触媒が、tBuOOH を酸化剤とするシクロオクテンエポキシ化反応に優れた活性を示すことを見出した。シルセスキオキサン配位子とシリカ表面のシラノール基間での配位子交換によってシリカ表面にチタン種が固定化され、これが高い触媒活性を示すと推察される。
  • 高度分子変換反応に有効な環境調和型新規不均一系ルテニウム触媒の創成
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 和田 健司; 細川 三郎
     
    原子効率に優れ、有害廃棄物を排出せず、かつ経済的な有機合成プロセスを可能にする固体触媒の開発が望まれる。本研究では、芳香族炭素-水素結合の直接アリール化・直接アルキル化反応、炭素-炭素結合の切断と再配列を伴うアリル基移動反応、アルキンへのカルボン酸の位置および立体選択的付加反応、アルキンあるいはアルケン等のホモおよびクロスカップリング反応、アミノアルコール類の脱水素環化によるインドール合成反応に対して、優れた活性を示すセリアおよびジルコニア担持ルテニウム触媒を開発した。これらの触媒からのルテニウムの溶出はほとんど無く、活性の低下を伴うことなく再生利用可能であった。また、EXAFSやFTIR等の分光学的手段によってセリア表面上に歪んだ構造を有するRu=O種が形成され、反応系中で低原子価活性Ru種に変換されると推察された。
  • セリア担持酸化ルテニウム触媒を活用する環境調和型高度分子変換プロセスの開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2010年 
    代表者 : 井上 正志; 和田 健司; 細川 三郎
     
    より環境負荷の小さな有機合成プロセスの開発と、こうしたプロセスを可能にする新触媒の開発は重要な課題である。中でも不活性炭素-水素結合活性化を伴う分子変換反応は、有機合成化学における最重要課題として興味を集めているが、こうした反応については、均一系金属錯体触媒の使用が不可欠と信じられていたというのが実情である。本研究では、均一系金属錯体触媒を用いなければ達成し得なかった不活性炭素-水素結合活性化を伴う分子変換反応を対象として、錯体触媒が本質的に抱える環境上・実用上の制約を一気に解消できる、セリア担持酸化ルテニウム触媒を活用する環境調和型プロセスを構築する。 本年度は、芳香族炭素-水素結合の直接アリール化およびアルキル化反応に対する、触媒の前処理の効果を検討した。水素雰囲気下で少量のトリフェニルボスフィンとともにセリア担持酸化ルテニウム触媒を100℃程度で20分~60分間加熱したところ、これらの反応に対する活性が飛躍的に向上した。例えば、前処理なしでは反応温度170℃で24時間を要したプロモベンゼンによるベンゾ[h]キノリンの直接アリール反応が、反応温度120℃で90分以内に完結した。FTIR等による触媒の分析結果から、酸化セリウム上に歪んだ配位構造を有するRu=O種が特異的に生成し、これが前処理段階で還元されて触媒活性種が発生していると推察される。 さらに、メシチレン等のSP^3 C-H結合の活性化を伴うホウ素化反応に有効な触媒の探索を行ったところ、酸化チタン担持パラジウム触媒が特に高い活性を示すことを見出した。特に、40℃といった室温に近い反応温度でもメシチレンとビスピナコラートジボロン間の反応が円滑に進行し、ベンジル位がホウ素化された生成物が中程度の収率で得られた。
  • 反応性メタラサイクルを鍵中間体とする環境調和型革新的環状化合物構築反応の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 近藤 輝幸; 和田 健司
     
    「副生成物を排出せず、"欲しいもの"だけを高い原子効率で選択的に合成する」ことは、環境・資源問題に直面した21世紀の社会の持続的発展のために必要不可欠である。本基盤研究(B)では、ロジウム錯体の高度触媒機能を利用した「メタラサイクル」中間体を経由するシクロプロパン、2-ピリドン、ピリミジン-2,4-ジオン、フラン等の革新的構築手法の開発に成功した。また、0価ルテニウム錯体触媒がエチレンの選択的三量化反応によるイソヘキセン合成に高い触媒活性を示すことを見出した。本反応も、「ルテナシクロペンタン」を鍵中間体として進行している。
  • シルセスキオキサンを活用した環境対応型触媒の創製
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2008年 
    代表者 : 和田 健司
     
    金属含有シルセスキオキサンの特長を生かして,制御された細孔・ビルドアップ構造を有する新しいタイプの環境対応型触媒開発を検討し,アルコールの空気酸化反応に有効なシルセスキオキサン保護パラジウムナノクラスター触媒,アルケンのヒドロホルミル化反応に有効なルテニウム種内包多孔質触媒,アルケンのエポキシ化反応に高活性を示すシリカ固定化チタン含有シルセスキオキサン触媒およびチタン含有シルセスキオキサンゲル触媒を新たに開発した.
  • 環境調和型新規遷移金属錯体触媒の創製とその革新的環構築反応への高度利用法の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 近藤 輝幸; 和田 健司
     
    高い原子効率で、副生成物を排出しない省エネルギー環境調和型新合成反応の開発には、高度な触媒機能を有する新しい遷移金属錯体の創製が不可欠である。本研究では、まず我々が初めて合成した0価ルテニウム錯体Ru (η^6-1, 3, 5-cyclooctatriene) (η^2-dimethyl fumarate)_2 (1)の配位子交換反応により、芳香族炭化水素、p-キノンおよびビキノン類、Pyboxに代表される窒素三座配位子、さらにマレイミドを有する新規0価ルテニウム錯体群の創製に成功した。一方、同じ0価ルテニウム錯体でもRu(η^4-1,5-cyclooctadiene)(η^6-1, 3, 5-cyclooctatriene)錯体(2)とマレイミドとの反応では、錯体2のcot配位子とマレイミドとの酸化的環化反応が進行し、新規2価ルテナサイクル錯体(3)が得られることを見出した。この結果は、[6+2]付加環化反応が触媒的に進行する可能性を示している。 以上のルテニウム錯体を用いる化学量論反応の検討により得られた知見を基に、本研究では、さらに、環境調和型ルテニウムおよびロジウム錯体触媒を用いる革新的環構築反応の開発に成功した。代表的な例としては、1)ルテニウム錯体触媒存在下でのイソシアナート、アルキンおよび一酸化炭素の新規[2+2+1]共付加環化反応による多置換マレイミド誘導体の高効率合成法、2)ロジウム錯体触媒存在下でのイソシアナートとアルキンとの[2+2+2]共付加環化反応による2-ピリドンおよびピリミジン-2,4-ジオン類の高選択的合成法、3)ロジウム錯体触媒存在下、シクロブテノン類の炭素-炭素結合切断を経る電子不足アルケンとの新規環化芳香族化反応、および4)ルテナサイクル中間体を経由する異種アルケンの共二量化、および共三量化反応と、C6選択的エチレンの三量化反応が挙げられる。 以上の環構築反応は、いずれも原子効率100%で進行し、副生成物を排出しない革新的機能性有機材料モノマー合成法である。
  • シルセスキオキサンを活用した特異的反応場を有する新規触媒材料の創製
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 和田 健司
     
    本研究課題では、原子レベルで構造制御された新規シルセスキオキサンの合成、およびこれらを必要とする機能に応じて組み上げて行くことによる、「場」の自在制御が可能な有機・無機複合触媒材料の構築を検討した。また、金属含有シルセスキオキサン等の酸化分解による、特異的なミクロ細孔構造を有する固体酸触媒の開発を行い、炭化水素の分解反応や部分酸化反応に対する触媒機能を検討した。 その結果、アセチレン部位を有する新規シルセスキオキサンを合成するとともに、アセチレン部位の接触的分子内三量化反応の活用によって、新規大籠状シルセスキオキサンの創製に成功した。シロキサン骨格構造やチタン周辺構造の異なる種々のチタン含有シルセスキオキサンを合成し、チタンに隣接したケイ素上にアルケニルシリル基を有する分子のアルケンのエポキシ化反応に対する高い触媒機能を見出し、これらの分子への親水性部位の導入による触媒機能向上効果を示した。また、チタノセン含有シルセスキオキサンの合成に初めて成功するとともに、種々の反応性シリル置換基を有する新規金属含有シルセスキオキサンを合成し、酸化反応に対する触媒活性を見出した。また、メタロセンを保護基として活用する新手法によって、従来合成困難であった反応性置換基を有するシルセスキオキサンジシラノールの合成に成功した。さらに、コアに加えて周辺部位もシルセスキオキサンから構成されたデンドリマーをはじめて合成した。 一方、アルミニウム架橋型シルセスキオキサンを前駆体として、特異的なミクロ細孔構造を有し、高い炭化水素分解活性を有する固体酸触媒を開発した。また、シルセスキオキサンアミン配位子を新たに合成し、これらを活用してインクボトル型メソ細孔とミクロ細孔を併せ持ち、パラジウム酸化物ナノ粒子を内包する多孔質酸化物触媒を調製、これらが水中でのアルコール類の空気酸化反応に高い活性を有することを示した。
  • 環境調和型新規低原子価ルテニウム錯体の創製と触媒機能の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 光藤 武明; 近藤 輝幸; 和田 健司; 浦 康之
     
    高い原子効率で、副生成物を排出しない省エネルギー環境調和型新合成反応の開発には、高度な触媒機能を有する新しい遷移金属錯体の創製が不可欠である。本研究では、まず我々が初めて合成した0価ルテニウム錯体Ru(η^6-1,3,5-cyclooctatriene)(η^2-dimethyl fumarate)_2(1)を出発原料とし、その高選択的な配位子交換反応により、芳香族炭化水素、p-キノンおよびビキノン類、およびPyboxに代表される窒素三座配位子を有する新規0価ルテニウム錯体群の創製に成功した。さらに、錯体1とフェノールならびに水との量論反応について詳細に検討を行った結果、新規2価ルテニウムフェノラート錯体、ならびに配位した水分子の酸素がキラルである新規0価ルテニウムアクア錯体の合成に成功し、それぞれの錯体の特異な構造を単結晶X線構造解析により明らかにした。また、アクア錯体については、キラルカラムを備えたHPLCにより光学分割に成功した。一方、異種アルケンおよび異種アルキンの触媒的共二量化、共三量化反応は、副生成物を排出しない環境調和型炭素-炭素結合生成反応である。本研究では、まずルテニウム錯体触媒を用いるアセチレンジカルボン酸ジメチル、1-デシンおよび3-ヘキシンの共環化三量化反応の開発に成功した。さらに亜鉛を還元剤として用いる新規なルテニウム錯体触媒系を開発し、2-ノルボルネン類とアクリル酸誘導体との共二量化反応、および2,3-ジヒドロフラン類とα,β-不飽和エステル類との共二量化反応が、それぞれ高位置および立体選択的に進行することを見出した。以上の反応は、いずれも原子効率100%で進行する新規機能性有機材料モノマー合成法である。
  • 環境調和型遷移金属錯体触媒を用いる極性小分子の高効率活性化
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 近藤 輝幸; 光藤 武明; 和田 健司; 浦 康之
     
    本研究では、低原子価ルテニウム錯体触媒が、8-10族遷移金属の中で特にd電子不足の前周期性を示し、極めて高いヘテロ原子親和性を示すとの観点から、ルテニウム錯体触媒に特徴的な極性小分子の高効率活性化について詳細な検討を行った。その結果、ルテニウム錯体触媒に特徴的な新規炭素-炭素、および炭素-ヘテロ原子結合生成反応の開発に成功した。主な研究成果としては、1)スルフェンアミド類の電子不足アルキンへの高位置および立体選択的付加反応による新規多官能性アルケンの合成、2)アルキンからジエンへの高選択的異性化反応と電子不足アルケンとのDiels-Alder反応による[4+2]共付加環化反応、3)シクロブテノン類の炭素-炭素結合切断/炭素骨格再構築反応、4)異種アルキンの共環化三量化反応、5)異種アルケンの高位置および立体選択的共二量化反応の開発等が挙げられ、いずれの反応も副生成物を排出しない省エネルギー環境調和型新規機能性有機材料モノマー合成法である。一方、我々が初めて合成したRu(η^6-cot)(η^2-dmfm)_2(1)錯体の配位子交換反応について詳細な検討を行い、数多くの新規0価ルテニウム錯体群の創製に成功した。さらに、錯体1とフェノールならびに水との化学量論反応について検討した結果、新規2価ルテニウムフェノラート錯体、ならびに配位した水分子の酸素がキラルである新規0価ルテニウムアクア錯体の合成に成功し、それぞれの錯体の特異な構造を単結晶X線構造解析により明らかにした。実際、ラセミのアクア錯体は、キラルカラムを備えたHPLCにより光学分割可能であり、また、温度可変^1H NMR測定とDFT計算により、配位した水分子の回転と反転による2個の水素原子間の位置交換過程を実験的に初めて明らかにした。
  • 金属含有シルセスキオキサンを用いる新規有機・無機複合触媒材料の創製
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 和田 健司
     
    本研究では、まったく新しいタイプの触媒材料の開発に資することを目的として、重合などの手がかりとなる適当な官能基を有する新規金属含有シルセスキオキサンの合成、さらにこれらを前駆体とする金属含有有機・無機ハイブリッド共重合体の合成に加えて、シルセスキオキサンを焼成することによる、特異的な細孔構造を有する多孔質固体酸触媒の調製に焦点を絞って検討した。 1.種々の金属種を含有する新規シルセスキオキサンの合成および多孔質化物の調製と炭化水素変換触媒としての機能評価 種々の13族元素を含む新規シルセスキオキサンの合成、およびこれらの焼成による多孔質酸化物の調製と、酸性質・細孔構造および触媒活性の評価を行った。その結果、ガリウム含有シルセスキオキサンの新規誘導体、およびホウ素含有シルセスキオキサンを合成した。さらにこれらの新規シルセスキオキサンおよびアルミニウム架橋型シルセスキオキサンを焼成することによる多孔質酸化物を調製した。固体酸性質をアンモニア昇温脱離(TPD)法によって検討したところ、前駆体のシルセスキオキサンによって著しい影響を受けた。中でも、アルミニウム架橋型シルセスキオキサンが特に優れた固体酸性を示した。これらの酸化物のクメン分解反応に対する触媒活性の予備的検討を行ったところ、アモルファス酸化物として例外的に高いクメン分解活性を示すことを見出した。 2.反応性置換基を有する新規金属含有シルセスキオキサンの合成と触媒機能 本研究では、有機無機複合触媒材料合成のために必要な、種々の反応性置換基を有し、かつ原子レベルで厳密に構造が制御された金属種を含有する新規シルセスキオキサンの合成を検討した。その結果、チタノセン含有分子の合成に初めて成功するとともに、類縁のジルコニウムおよびハフニウム含有分子の構造をX線結晶解析によって明らかにした。すなわち、アミン共存下でのシルセスキオキサンジシラノールとチタノセンジクロリドとの反応により、新規チタノセン含有シルセスキオキサンを81%の収率で得た。同様の手法で、アルケニルシリル基を有する分子を合成した。これらのチタノセン含有シルセスキオキサンは、t-ブチルヒドロペルオキシドを酸化剤とする、シクロヘキサンのエポキシ化反応に対して触媒活性を示した。また、アルケニルシリル基の存在による触媒活性の向上効果が認められた。
  • ルテニウム錯体触媒を用いるポリカルボン酸誘導体の新合成法の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 光藤 武明; 浦 康之; 和田 健司; 近藤 輝幸
     
    芳香族ならびに脂肪族ポリカルボン酸誘導体は、工業原料中間体として重要であり、その高効率合成法の開発が望まれている。本研究では、我々が先駆的に独自の方法で開発してきたルテニウム錯体の特異な触媒機能をを利用し、以下に示すポリカルボン酸誘導体の新合成法を開発した。 1.ルテニウム錯体触媒を用いるアセチレン類とアリルアルコール類との新規環化芳香族化反応 当研究室ではこれまでに、低原子価ルテニウム錯体触媒を用いるアセチレン類とオレフィン類との環化([2+2]付加環化)および鎖状共二量化反応を開発し報告している。本研究ではさらに、反応性メタラサイクル錯体の一つであるルテナシクロペンテン中間体を経由する新合成反応の開発を目的として検討を行った。その結果Cp*RuCl(cod)/PPh_3[Cp*=pentamethylcyclopentadienyl,cod=1,5-cyclooctadiene]触媒存在下、アセチレンジカルポン酸ジメチル2分子とアリルアルコール類1分子との環化芳香族化反応が良好に進行し1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸誘導体が高収率で得られることを見出した。本反応は、芳香族ポリカルボン酸誘導体の新合成法である。 2.ルテニウム錯体触媒を用いるシクロプロペノン類の新規開環カルボニル化/二量化反応 メタラサイクルは、環状化合物の金属への直接酸化的付加、低原子価遷移金属上での不飽和有機化合物の酸化的環化、シクロメタル化、メタセシス反応等、種々の方法で発生可能であり、その反応性は極めて興味深い。本研究では、分子内にカルボニル基と不飽和結合を併せ持ち、かつ適度な歪を有する環状化合物である「シクロプロペノン」類を基質に選び、そのカルボニルα-位炭素-炭素結合の切断による開環、生成したルテナシクロプテノン中間体への一酸化炭素の挿入、さらにもう1分子のシクロプロペノンとの反応による新規機能性有機分子「ピラノピランジオン」誘導体の触媒的新合成法の開発に成功した。本研究で合成した「ピラノピランジオン」は、全て新規化合物であり、同一分子内に不飽和結合と2つのエステル基を有する芳香族性を有することから、その物性および高分子材料モノマーとしての利用が期待される。 3.ルテニウム錯体触媒を用いる新規[2+2+2]付加環化反応によるo-フタル酸誘導体の高効率合成法 Cp^*RuCl(cod)錯体触媒存在下、2分子の末端アルキンと1分子のアセチレンジカルボン酸ジメチルとの交差[2+2+2]付加環化反応によるo-フタル酸エステル誘導体の高効率合成法を開発した。通常、アルキンとアセチレンジカルボン酸エステルとの交差[2+2+2]付加環化反応では、1:2付加物である1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸エステル誘導体が主生成物として得られるが、本反応では、2:1付加物であるo-フタル酸エステル誘導体のみが良好な収率で得られる点が興味深い。本反応は、アルキン1分子とアセチレンジカルボン酸エステル1分子とのルテニウム上での酸化的環化反応によるルテナシクロペンタジエン中間体を経由して進行していると考えられ、o-フタル酸誘導体の触媒的新合成法である。 4.ルテニウム錯体触媒を用いるアクリル酸エステルのオリゴメリゼーション 一方、ルテニウム錯体触媒を用いるアクリル酸エステルのオリゴメリゼーションについて検討した結果、Ru_3(CO)_<12>/Et_3N触媒系を用いた場合に、アクリル酸エステルの二量化反応が高位置および立体選択的に進行し、対応するtail-to-tail二量体が高い基質/触媒比で良好な収率で得られることを見出した(収率56%,触媒に対するTON=2091)。さらに異種アルケンの共二量化反応として、新規ルテニウム触媒系(RuCl_3(2,2':6',2''-terpyridinel/Zn)を用いるアクリル酸エステルと2-ノルボルネンとの鎖状共二量化反応を開発し、対応するexo-trans体が高位置および立体選択的に高収率で得られることを見出した。
  • ルテニウム―ヘテロ原子結合生成を鍵反応とする新合成反応の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 光藤 武明; 浦 康之; 和田 健司; 近藤 輝幸
     
    金属-ヘテロ原子結合の生成は、遷移金属錯体触媒を用いる不飽和炭化水素へのヘテロ原子導入反応を構築する上で重要な鍵となる反応である。我々は、早くからルテニウム錯体の高いヘテロ原子親和性に注目し、数多くのルテニウム触媒新反応を開発してきた。本研究では、これらの知見を基に、さらにルテニウム-ヘテロ原子結合生成を鍵とする新触媒的有機合成反応の開発、およびそれらの新反応を可能とする新規0価ルテニウム錯体の合成を行った。 1.ルテニウム錯体触媒を用いるアミノアルキン類の分子内ヒドロアミノ化反応 一酸化炭素およびフマル酸ジメチルといったπ酸性配位子を有する低原子価ルテニウム錯体、Ru_3(CO)_<12>やRu(η^6-cot)(dmfm)_2[cot=1,3,5-シクロオクタトリエン、dmfm=フマル酸ジメチル]がアミノアルキン類のアミノ基N-H結合の活性化を経る分子内ヒドロアミノ化反応に高い触媒活性をし、対応する環状イミンが高収率で得られることを見出した。 2.ルテニウム錯体触媒を用いるアミノアルケン類の分子内酸化的アミノ化反応 遷移金属錯体触媒を用いるアミノアルケン類の分子内ヒドロアミノ化反応はアミノアルキン類の反応に比べて極めて困難であり、さらにより困難な分子内酸化的アミノ化反応の報告例はほとんどない。本研究では、炭酸カリウム、および酢酸アリル共存下、新規ルテニウム触媒系[RuCl_2(CO)_3]_2/dppp[dppp=1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]を用いることにより、アミノアルケン類の分子内酸化的アミノ化反応が良好に進行し、対応する環状イミン類が高収率かつ高選択的に得られることを見出した。本反応により高価なアミノアルキンを用いる必要のない環状イミン合成が可能となった。 3.ルテニウム錯体触媒を用いるチオール類のS-プロパルギル化反応 ルテニウム錯体触媒存在下、炭酸プロパルギル類を用いる芳香族、ならびに脂肪族チオール類のS-プロパルギル化反応によるプロパルギルスルフィド誘導体の一般的な新合成法を開発した。従来、硫黄に代表されるカルコゲン原子化合物は、遷移金属錯体の触媒毒として作用することが知られていたが、我々は、ルテニウム錯体触媒を用いることによりこの問題を解決した。CpRuCl(cod)錯体触媒[Cp=シクロペンタジエニル]とCpRuCl(PPh_3)_2錯体触媒とを適切に使い分けることにより、芳香族、脂肪族を問わずチオール類の一般的なS-プロパルギル化反応が良好に進行した。 4.ルテニウム錯体触媒を用いるスルフェンアミド類のアルキンへの付加反応 スルフェンアミド類はSがδ+、Nがδ-に分極した興味深い化合物であるが、その触媒的有機合成反応への利用は極めて限られていた。本研究では、遷移金属錯体触媒、特にルテニウム錯体触媒を用い、スルフェンアミド類のアルキンへの高位置及び立体選択的付加反応による新規多官能性アルケンの合成法を開発した。 5.触媒的ヘテロ原子導入新反応開発のための新規0価ルテニウム錯体の創製 当研究室で初めて合成したRu(η^6-cot)(dmrm)_2錯体と芳香族炭化水素との反応により、cot配位子が交換した0価(η^6-アレーン)ルテニウム錯体が、またp-キノン類との反応では、2分子のdmfm配位子が交換した0価(p-キノン)ルテニウム錯体がそれぞれ高収率かつ高選択的に得られることを見出した。さらにPyboxに代表される不斉窒素三座配位子との反応では、光学活性0価ルテニウム錯体が得られることを明らかにした。
  • オリゴシルセスキオキサンを用いる新規触媒材料の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -2000年 
    代表者 : 和田 健司
     
    本研究では、厳密な構造決定や制御が容易である「シリカ担持触媒のモデル分子」としての観点から、遷移金属種および典型金属を含有するオリゴシルセスキオキサンを前駆体とする、全く新しいタイプの不均一系触媒材料の創製を目的として、新規遷移金属および典型金属含有オリゴシルセスキオキサンの合成、およびそれらの重合や焼成等による不均一系触媒材料の開発を検討した。 本年度は、まず第一に、固体表面への固定化や重合反応の手がかりとなる、適当な置換基を有する新規金属含有シルセスキオキサンの合成を検討した。その結果、オレフィン部位を有する一連の新規4族遷移金属含有シルセスキオキサンの合成し成功した。さらにオレフィン部位のヒドロシリル化によって、表面への固定化に有効な官能基であるエトキシシリル基を導入した。 第二に、オレフィン部位を活用した有機-無機複合触媒材料への変換反応について検討した。オレフィン部位を2つ有するチタン含有分子([(c-C_5H_9)_7Si_7O_9(OSiMe_2RO_2]_2Ti、R=vinyl or allyl)を合成し、ヒドロシリル化によって、オクタキス(ヒドリドシルセスキオキサン)(H_8Si_8O_<12>)との共重合体に導いた。その際、前駆体のチタン含有シルセスキオキサンに特徴的なチタン原子周囲の部分構造は、共重合体中でも保持されており、特定の構造の金属種のみを含有する有機-無機複合材料が得られた。 第三に、新規ガリウム含有シルセスキオキサンを合成し、これらの焼成による酸化物触媒材料の調製を検討した。また、既知のガリウム含有シルセスキオキサンも合成し、比較検討した。その結果、固体酸触媒の前駆体としては架橋型ガリウム含有シルセスキオキサン([(c-C_5H_9)_7Si_7O_9(OSiMe_3)O_2]_2Ga)が有効であり、含まれるガリウムの約1/3が酸点形成に関与すること、および400〜500m^2g^<-1>の大きな比表面積を有し、径が約5Åに均一に制御されたミクロ細孔のみから構成されていることが判明した。
  • 炭素-炭素結合の接触的開裂と再配列による新規有機合成
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -2000年 
    代表者 : 光藤 武明; 和田 健司; 近藤 輝幸
     
    1)ルテニウム錯体触媒を用いる2,5-ノルボルナジエンの新規二量化反応の開発 新規有機材料創製の手段の一つとして、工業的にも容易に合成可能な新しい型のモノマーの創製が求められている。我々は1976年以来、ほとんど未開拓であったルテニウム錯体を用いる接触的炭素骨格形成反応に注目し、検討を重ねてきたが、最近、2,5-ルノボルナジエン(NBD)の骨格変換を伴う新規な二量化反応を見出した。生成物は5つの五員環からなる新しい篭型の化合物,pentacyclo[6.6.0.0^<2,6>.0^<3,13>.0^<10,14>]tetradeca-4,11-diene(PCTD),であり、出発物質であるNBDの骨格を持たず、炭素-炭素結合が少なくとも二回は切断された後、炭素骨格再構築反応により生成すると考えられる。本研究では、1)PCTDの構造およびジエン部分の反応性を解明するためのPCTD配位金属錯体,[AgOTf(PCTD)]_n,の合成、および単結晶X線構造解析による層状ポリマー構造の確認、2)PCTDのジエン部分への官能基導入、特に酸化反応による新しい篭型分子群(exo-ジエポキシ化物、exo-テトラヒドロキシル化物、PCTDの二重結合の切断を伴い、二つのラクトン環を有するトリシクロデカンカルボン酸誘導体の合成等)の創製を行った、さらに、新規ルテニウム錯体,Ru(η^6-cot)(η^2-dmfm)_2錯体,の合成に成功し、本錯体を用いるNBDの二量化反応は、反応温度40℃、反応時間1時間という極めて穏和な条件下で進行し、PCTDの大量合成(20gスケール)が可能となった。4)また反応速度論的考察により、本反応がendo-endoでNBDが二量化した(アルキル)Ru中間体に、さらにもう一分子のNBDが配位した中間体を経て進行していることが示唆された。 2)ルテニウム錯体触媒を用いるシクロブテンジオン類とアルケンとの新規脱モノカルボニル化カップリング反応によるシクロペンテノン誘導体合成法の開発 シクロブテンジオン類は、工業的にもその合成法が確立されている2π系擬芳香族性オキソカーボンであるスクアリン酸から容易に誘導可能であり、多環芳香族化合物の重要な合成中間体として利用されている。本研究ではシクロブテンジオン類をアルキンおよび一酸化炭素等価体として用いるアルケンとの交差カップリング反応について詳細な検討を行った。その結果、Ru_3(CO)_<12>/PEt_3触媒存在下、3-位にアルコキシ置換基を有するシクロブテンジオン類の2,3-位の位置選択的炭素-炭素結合切断反応が進行し、続くアルケンとの新規脱モノカルボニル化カップリング反応により、対応するシクロペンテノン誘導体が高位置および立体選択的に良好な収率で得られることを見出した。 3)単座および二座アミンおよびホスフィン配位子を有する新規0価ルテニウム錯体の創製 Ru(η^4-cod)(η^6-cot)錯体から容易に誘導可能な新規ルテニウム0価錯体,Ru(η^6-cot)(η^2-dmfm)_2,と単座および二座アミンおよびホスフィン配位子との反応を検討した結果、それぞれ良好な収率で対応する新規0価ルテニウムアミン錯体およびホスフィン錯体が得られた。これらの一連の新規0価ルテニウム錯体には新しい触媒機能が期待される。
  • ルテニウム錯体触媒を用いるカルコゲン元素化合物の新規変換反応の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1999年 -1999年 
    代表者 : 光藤 武明; 和田 健司; 近藤 輝幸
     
    硫黄、セレンなどカルコゲン元素を含む化合物は、遷移金属化合物と容易に反応し、多種多様な錯体を形成することが知られている。一方、触媒反応への展開を考えた場合、金属に配位したカルコゲン原子化合物は、比較的安定であり反応性に乏しく、また触媒毒として作用することが予想されたため、その開発は遅れていた。我々はこれまで、ルテニウム錯体の接触化学について詳細な検討を行っており、最近、新規チオラート架橋異種複核錯体(Cp_2Ti(μ-SR)_2RuClCp^*)の合成に成功し報告した。本錯体の生成は、ルテニウム錯体がカルコゲン元素化合物の新規変換反応を開発する上で高活性触媒と成り得る可能性を示しており、本研究では、以下に示すルテニウム錯体触媒の特性を活かしたカルコゲン元素化合物の新規変換反応の開発を行った。 1)ルテニウム錯体触媒を用いるジスルフィド類のオレフィンへの付加反応: Cp^*RuCl(cod)[Cp^*:pentamethylcyclo-pentadienyl,cod:1,5-cyclooctadiene]触媒存在下、ジスルフィド類の2-ノルボルネンへの付加反応が良好に進行し、対応する付加物であるvicinal-ジチオエーテルが高収率かつ高立体選択的(exo100%)に得られた。オレフィンとしては、2-ノルボルネン以外にも、エチレン、ビニルシラン、アリルアルコール、スチレン、アクリル酸メチル等の官能基を有する種々の末端オレフィンが適用可能であった。さらに、本反応の鍵中間体と考えられる[Cp^*RuCl(μ-SPh)]_2錯体の単離および単結晶X線構造解析に成功し、その反応性および触媒活性を明らかにした。 2)ルテニウム錯体触媒を用いるチオール類のS-アリル化反応: 我々は最近、π-アリルルテニウム錯体の接触化学について詳細な検討を行っており、本研究では、ルテニウム錯体触媒を用いる芳香族ならびに脂肪族チオール類の一般的な接触的アリル化反応の開発に成功した。アリル化剤としては、炭酸アリル類以外にもアリルアルコール自体が適用可能であり、さらに本S-アリル化反応の位置および立体選択性について詳細な検討を行った。
  • オリゴメタラシルセスキオキサンの新規触媒機能の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1998年 -1998年 
    代表者 : 光藤 武明; 和田 健司
     
    不均一系と均一系の中間的な性質を有する金属種含有オリゴシルセスキオキサンは、「厳密な構造決定や制御が容易である分子化されたシリカ担持触媒」として極めて興味深い分子であり、全く新しい概念に基づく触媒系の構築の可能性が考えられる。本研究では、金属種含有オリゴシルセスキオキサンについて新規分子の創製を試みるとともに、酸化反応に対する触媒機能を新たに開拓することを目的として検討を行い、以下の成果を得た。 (1)チタン含有シルセスキオキサンを前駆体とする新規多孔質複合酸化材料の創製 チタン含有シルセスキオキサンの新規誘導体を合成し、これを乾燥空気気流中、823K付近で焼成したところ、比較的均一に制御されたミクロ細孔を有する多孔質酸化物が得られることを初めて見出した。XPS等から,シロキサン骨格内に微少なTi-Oクラスターが分布しているものと推察された。一方、シリカに担持したチタン含有シルセスキオキサンを焼成することにより、より高分散なチタン種を有し、担体より大きな比表面積を示す多孔質酸化物が得られた。(2)バナジウム含有シルセスキオキサンを前駆体とする高活性不均一系触媒の創製 シリカ担持バナジウム含有オリゴシルセスキオキサンを焼成することにより、担体よりも高比表面積を有し、ミクロ細孔およびメソ細孔に富んだ特異的な細孔構造を有する酸化物触媒材料が得られることを初めて見出した。本触媒はメタンの光酸化反応によるホルムアルデヒドの高選択的合成に特に有効であり、通常の含浸法触媒には見られない高活性を示した(TON〜9.0,at493K,1h)。 (3)均一系触媒としてのバナジウム含有シルセスキオキサンの光酸化活性の検討 均一系触媒としてのとしての有効性を検討するため、液層光酸化反応に対するバナジウム含有シルセスキオキサンの触媒活性を検討したところ、シクロヘキサンの光酸化反応に特に有効であり、シクロヘキサノールおよびシクロヘキサノンが高収率で得られることを見出した(TON〜16.at・305K.6h)。
  • 新規篭型ジエンPCTDとその誘導体の合成に関する研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1998年 
    代表者 : 光藤 武明; 和田 健司; 近藤 輝幸
     
    新規有機材料創製の手段の一つとして、工業的にも容易に合成可能な新しい型のモノマーの創製が求められている。我々は1976年以来、ほとんど未開拓であったルテニウム錯体を用いる接触的炭素骨格形成反応に注目し、検討を重ねてきたが、最近、ノルボルナジエン(NBD)の骨格変換を伴う新規な二量化反応を見い出した。生成物は5つの五員環からなる新しい篭型の化合物、pentacyclo[6.6.0.0^<2,6>.0^<3,13>.0^<10,14>]-tetradeca-4,11-diene(PCTD),であり、出発物質であるNBDの骨格を持たず、炭素―炭素結合が少なくとも二回は切断された後、炭素骨格再構築反応により生成すると考えられる。本研究では、1)PCTDの反応性の解明、および新規篭型分子群創製のためのPCTDの大量合成法の確立、2)PCTDの構造およびジエン部分の反応性を解明するためのPCTD配位金属錯体の合成、3)PCTDのジエン部分への官能基導入、特に酸化反応による新しい篭型分子群の創製、4)速度論的考察によるPCTDの生成機構について検討を行い、以下の成果を得た。1)PCTDを反応温度40℃、反応時間1時間という極めて穏和な条件下、20gスケールで合成可能な新触媒系、Ru(cod)(cot)[cod=1,5-シクロオクタジエン、cot=1,3,5-シクロオクタトリエン]/ジメチルフマレート触媒系、の開発に成功した。2)PCTDとAgOTfとの反応により層状ポリマー構造を有する[AgOTf(PCTD)]_nの合成、およびその単結晶X線構造解析に成功した。3)PCTDの二つの二重結合の酸化反応により、PCTD由来のexo-ジエポキシ化物、exo-テトラヒドロキシル化物、およびPCTDの二重結合の切断を伴い、二つのラクトン環を有するトリシクロデカンカルボン酸誘導体の合成等、新規篭型分子群を創製した。4)Ru(cod)(cot)/N,N-ジメチルアクリルアミド触媒系を用いるNBDの二重化反応について、速度論的考察を行った結果、PCTDの生成速度式は、d[PCTD]dt=k_[Ru]^1[N,N-ジメチルアクリルアミド]^2[NBD]^3で表わされることが明らかとなった、この結果は、本反応がendo-endoでNBDが二重化した(アルキル)Ru中間体に、さらにもう一分子のNBDが配位した中間体を経て進行していることを示している。
  • 新規選択的光触媒反応によるメタン等の低級アルカンへの官能基の導入
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1996年 -1996年 
    代表者 : 和田 健司
     
    メタン等への選択的官能基導入反応開発の一環として、申請者は金属酸化物系触媒を用いるメタン等の低級アルカンの高温光酸素酸化反応によるアルデヒドの選択的合成法を見いだしている。本研究では(1)シリカ担持酸化バナジウム触媒を用いる低級アルカンの光酸素酸化反応について、低級アルカンの種類による反応性の差異の検討、(2)それぞれの低級アルカンに対する最適表面状態の解明、(3)アルケンの光酸化反応等への展開を目的とした。 その結果、(1)メタンとエタンの光酸化反応では反応温度依存性、水蒸気導入効果、照射光波長依存性に著しい差異が認められた。すなわちメタンの光酸化反応は493K付近の温度領域でのみ進行するが、エタンを用いた場合にはより広範な温度領域で良好に進行した。反応系への水蒸気導入によりメタンの光酸化反応は阻害されたが、エタンの場合には逆に促進された。さらにメタンの光酸化には、エタンの場合よりもより短い波長の光照射が必要であることが判明した。また、(2)ゾル-ゲル法により調製した触媒はエタン光酸化反応に対しては特に高活性を示したが、メタンの場合には比較的低活性に留まった。含浸法で調製した触媒の場合、担体の焼成処理温度に対してメタンとエタンの場合には全く逆の依存性が認められた。以上よりメタン、エタンの活性化に最適な表面状態が異なることが示唆された。これらの触媒の表面分析結果との対比によって、メタン光酸化反応には孤立したオルトバナデ-ト種が活性を示すのに対して、エタン以上のアルカンの場合はより集積した種でも反応に関与できるものと推察された。(3)アルケンの光酸化反応について酸化亜鉛系触媒等を用いて検討した。反応温度493Kにおけるプロペンの光酸化反応では、酸化亜鉛への極く少量の酸化モリブデン等の添加によって選択性が著しく変化し、主生成物としてエタナ-ル、プロパナ-ルの生成が認められた。
  • ルテニウム錯体の特異的触媒機能を生かした高選択的炭素骨格形式反応
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 光藤 武明; 和田 健司; 近藤 輝幸
     
    本年度は、我々が最近見いだしたルテニウム錯体触媒を用いるノルボルナジエンの炭素骨格変換を伴う高収率、高選択的新規二量化反応による、新規ノルボルナジエン二量体、ペンタシクロテトラデカ-4,8-ジエン(PCTD)合成反応について、反応機構を明かにするとともに新規篭型モノマー合成を目的として以下の検討を行った。 1.反応条件および配位子効果:ノルボルナジエンはRu(cod)dot)[cod:シクロオクタジエン;cot;シクロオクタトリエン]触媒存在下、特異な二量化反応を起こし、ペンタシクロテトラデカ-4,8-ジエン(PCTD)を高収率で与えた。副生成物としてはヘプタシクロテトラデカン(HCTD)が少量得られた。本反応にはN,N-ジメチルアクリルアミドの添加が不可欠であったことから、N,N-ジメチルアクリルアミドの反応支配配位子としての可能性を確かめるために、いくつかのα,β-不飽和アミドの添加効果について検討を行った。β-位に水素を有するα,β-不飽和アミドを用いた場合には触媒反応が進行しPCTDが得られたが、β-位に水素を有しないアミドを用いた場合には本二量化反応はほとんど進行しなかった。これらの結果は本反応において、α,β-不飽和アミドのビニル位のC-H結合活性化により(ヒドリド)(アルケニル)ルテニウム中間体が生成している可能性を示唆している。 2.置換ノルボルナジエンの二量化反応によるPCTD誘導体の合成:次に7-位にtert-ブトキシ基および重水素を有するノルボルナジエンを別途合成し、その二量化反応によるPCTD誘導体合成を試みた。まず7-tert-ブトキシノルボルナジエンからは2,8-位にtert-ブトキシ基を有するPCTD誘導体を13%、HCTD誘導体を11%の収率で得た。また重水素化した7-d-ノルボルナジエンからも2,8-位に重水素を有するPCTD誘導体が63%、HCTD誘導体が5%の収率で得られた。これらの結果によりノルボルナジエン骨格の7-位の炭素がPCTDのそれぞれ2,8-位に対応していることが明かとなり、PCTDは、二分子のノルボルナジエンがendo-endoで二量化した配位子を持つ錯体において、一つのノルボルナジエンの2,3-位の炭素-炭素結合、およびもう一つのノルボルナジエン骨格の1,2-位の炭素-炭素結合が切断されて生成するものと考えられる。 3. PCTDの官能基化:新規篭型ジエンPCTDは、5つの5員環を有するジエンであり、PCTDの二つのオレフィン部分に二つの官能基を導入することが出来れば、新しいモノマーを合成出来る。そこで本研究ではさらに、PCTDの水素化、臭素化、ヒドロホウ素化およびヒドロホルミル化反応を試み、種々の篭型機能性モノマー合成を行った。現在のところ、位置選択的なオキソ反応には成功していないが、これらのモノマーのうち、例えばジオール類はポリエステルまたは、ポリウレタン合成のモノマーとしての利用が期待される。
  • ルテニウム錯体触媒に特徴的な選択的官能基変換反応の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 渡部 良久; 和田 健司; 近藤 輝幸; 光藤 武明
     
    我々は従来開発が不十分であったルテニウム錯体の触媒機能について重点的、かつ詳細に検討を行なっており、本研究では新規炭素-炭素結合生成反応や高選択的官能基変換反応、新規複素環化合物合成法開発等の面でルテニウム錯体に特徴的な触媒機能の開発を検討している。その一環として(1)π-アリルルテニウム錯体の特性を利用した新規炭素-炭素結合生成反応について検討した。我々は既にπ-アリルルテニウム錯体の求核性、求電子性いずれをも示す特異なアンビフィリックな反応性等を見いだしている。これに関連して、炭素求核剤ならびに窒素求核剤の位置特異的アリル化反応を見いだしたが、この位置選択性はパラジウム錯体触媒を用いた場合と全く異なり、より立体障害の大きいアリル炭素上で高選択的に反応が進行した。また従来のRu(COD)(COT)-アミン触媒系よりもさらに高活性・高選択性を示す新触媒系(Cp^*RuCl(COD)-アミン触媒系)の開発に成功した。さらに、炭酸アリル類のカルボニル化反応を検討したところ、Ru_3(CO)_<12>-1,10-フェナントロリン系触媒により炭酸クロチルの立体障害の大きな炭素のカルボニル化が、より選択的に進行することを見いだした。一方、(2)ルテニウム錯体触媒によるアリルアルコールの環化カルボニル化反応開発の一環として、二つの置換基を1位に有するアリルアルコール類を、酢酸アリル存在下、RuCl_2(PPh_3)_3-K_2CO_3触媒を用いてカルボニル化すると、フラノン誘導体が得られることを見いだした。また、(3)新たに開発したCp^*RuCl(COD)触媒系によりアセチレン類とノルボルネン類との[2+2]環化共二量化反応の開発に成功した。本触媒系によりアセチレン類の適用範囲が飛躍的に広がった。本反応は中性の“Cp^*RuCl"種で進行した接触的炭素-炭素結合生成反応の最初の例である。さらに、(4)カルボン酸アミド基のN-H結合活性化を経るアセチレンへの付加反応について検討したところ、対応するエナミドが位置および立体選択的に得られることを見いだした。
  • ルテニウム錯体の特異的触媒機能を生かした高選択的合成反応
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1993年 -1994年 
    代表者 : 渡部 良久; 和田 健司; 近藤 輝幸; 光藤 武明
     
    我々はルテニウム錯体の接触化学について他に先駆けて検討を重ねており、ルテニウム錯体に特異的な触媒機能を見いだしてきた。本研究では特にπ-アリルルテニウム錯体を鍵中間体とする接触的増炭素反応や、ホルミル基C-H結合活性化を鍵反応とする増炭素反応等に加え、各種有機金属錯体触媒の特異的機能を利用した高選択的合成反応の開発を検討している。本年度は、1.π-アリルルテニウム錯体の反応性を明らかにするため、新規2価π-アリルルテニウム錯体((C_3H_5)Ru(OAc)(CO)_3)、および新規2価16電子配位不飽和カチオン性ルテニウム錯体([(C_3H_5)Ru(CO)_3]^+(OTf)^-)の合成を行い、後者の錯体のX線結晶構造解析に成功した。さらにこれらの錯体は求電子剤、求核剤いずれとも速やかに反応し、特異なアンビフィリックな反応性を確かに有していることが明らかとなった。また、2.低原子価ルテニウム錯体のホルミル基C-H結合活性化に対する高い触媒活性を利用して、ギ酸エステルのアルコルへの選択的脱カルボニル化反応、ギ酸エステルを用いる中性条件下での芳香族化合物のアルキル化反応、ならびにアルコールのアルケンへの付加反応を見いだした。一方、有機金属錯体触媒による選択的合成反応として、3.レテニウム錯体を初めとする各種7、8、9、10族金属カルボニル錯体が、常温・常圧におけるヨウ化アルキルの光-、電気的-、および熱的なカルボニル化反応に高い触媒活性を示すことを見いだした。4.ルテニウム錯体の触媒機能の検討過程において、オキシラン類、およびオキセタンの開環カルボニル化反応によるβ-およびγ-シロキシアミド類の合成に、Co_2(CO)_8触媒が有効であることを見いだした。また、ο-ニトロスチレン誘導体の還元的N-複素環化反応が、一酸化炭素加圧下、PbCl_2(PPh_3)_2-SnCl_2触媒系により容易に進行し、対応するインドール誘導体が良好な収率で得られることを見いだした。さらに、PdCl_2(PPh_3)_2-MoCl_5触媒系存在下、2-ニトロベンズアルデヒド等とフォルムアミドとの分子間還元的N-複素還化反応によるキナゾリン誘導体合成反応を開発した。
  • ルテニウム錯体触媒に特徴的な選択的官能基変換反応の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 1993年 -1993年 
    代表者 : 渡辺 良久; 和田 健司; 近藤 輝幸; 光藤 武明
     
    有機金属錯体の重要な機能の一つは、高活性・高選択的な触媒作用にあり、ワッカー法等に見られるパラジウム触媒、C_1ケミストリーを支えるロジウム触媒はその代表例であり、工業的にも極めて意義の高いプロセス触媒が開発されている。ファインケミカルズ合成においてもこれらの金属の触媒作用は極めて重要であり、さらに高活性・高選択性を示す新触媒およびそれらを用いる新反応の開発が望まれている。本研究は、我々がこれまで重点的に行ってきたルテニウム錯体触媒に特徴的な新接触反応の開発をさらに推進するものであり、特に高選択的官能基変換反応に焦点を絞って研究を行なった。その結果、1.低原子価ルテニウム錯体触媒に特徴的なホルミル基C-H結合活性化を経る新合成反応として、ギ酸アミドとアルコールからの新規カルバミド酸エステル合成法を開始した。本反応はホスゲン、一酸化炭素を一切用いないカルバミド酸エステル合成法であり有機工業的観点からも極めて興味深い反応といえる。次に我々が既に見いだしているルテニウムカルボニル錯体-一酸化炭素系によりオキシム類ならびにニトロ化合物の脱酸素反応が良好に進行するという知見をもとに、2.本系を用いるアミドオキシムと1,3-ジカルボニル化合物からのピリミジン合成、ならびにN-(2-ニトロベンゾイル)アミドの還元的N-複素環化反応による4(3H)-キナゾリノンの新規合成法を開発した。特に後者の反応によりキナゾリノンアルカロイドの一つであるインドロ[2,1-b]キナゾリン-6,12-ジオンの簡便な合成が可能となった。さらに、3.水素移動を伴うN-複素環化反応として、ヘテロ芳香族アミンとジオール類からの新規イミダゾ[1,2-a]ピリジン合成法を開発した。いずれの反応もルテニウム錯体触媒に特徴的な新規高選択的官能基変換反応である。
  • 有機合成反応の環境負荷低減を可能にする新触媒の開発
    研究期間 : 1992年
  • Development o novel catalysts for green organic transformations
    研究期間 : 1992年
  • 錯体化学的手法による新規触媒材料の開発
  • 重質炭素質の接触変換反応に関する研究
  • 触媒反応によるメタン等低級アルカンの化学的直接変換法の開発
  • Development of Novel Materials for Catalysis by Organometallic Methods
  • Studies on Catalytic Conversion of Heavy Resources
  • Developments of Chemical Catalytic Direct Conversion of Methane and Light Alkanes

委員歴

  • 2003年01月 - 現在   日本エネルギー学会   関西支部幹事   日本エネルギー学会
  • 2017年05月 - 2019年05月   触媒学会   会誌編集委員会委員長
  • 2017年05月 - 2019年05月   触媒学会   理事   触媒学会
  • 2015年04月 - 2017年03月   日本化学会   西日本支部幹事・化学教育協議会委員
  • 1999年10月 - 2013年12月   石油学会   関西支部幹事   石油学会

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