学際的視点で考える人型ケアリングロボットの倫理的・法的課題に関する研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2019年04月 -2023年03月
代表者 : 安原 由子; 甲斐 義弘; 辻上 佳輝; 飯藤 大和; 谷岡 哲也; 宮川 操
本研究の目的は、ケアリングに基づいた会話ができる人型ロボットを医療・介護現場で安全に使用するための倫理的・法的課題を学際的に明らかにすることである。
ケアリングに基づいた会話のできるロボットに焦点を当てているため、関連研究において人型ロボットPepper(Softbank社)に搭載する会話アプリケーションをXING社と改良した。新型コロナウイルス感染症の動向を注視しながら、高齢者施設において改良した会話アプリケーションを搭載したPepperと高齢者の会話状況を調査し、倫理的・法的課題となる現象について検討中である。
会話を通したコミュニケーションには、言語的コミュニケーション(話の内容や表現など)だけでなく、非言語的コミュニケーション(しぐさや視線、会話のタイミングや声のトーンなど)が必要となる。加えて、ケアリングに基づいた会話ができる人型ロボットには、医療者としての倫理・道徳観も備えていることが求められる。高齢者は、加齢による身体機能の変化も様々であるため、高齢者に負担をかけず、自然な会話をするためには課題が多いことが明らかになった。
また、ロボットを医療・介護現場で安全に使用するために、医事法全体や改定前薬機法などを参照し、法的課題について学際的視点から検討している。ケアリングに基づいた会話ができるロボットに自走機能が必要か否か、もし自走機能を持たせるとすると安全性の確保が必須となるため、ブレーキシステムの動作について確認実験を継続している。