Lactobacillusによる免疫複合体形成が腸管レジリエンス維持に果たす役割
日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2023年04月 -2026年03月
代表者 : 桑原 知巳; 近藤 園子; 今大路 治之; 近藤 健夫
自己の腸内細菌に対する血中IgGは、腸管粘膜バリア破綻時の常在菌の血中への侵入を防ぐとともに、交差反応によって病原細菌による感染防御にも機能することが知られている。我々は、小児科潰瘍性大腸炎患者の血清IgGと自己腸内細菌との反応性を検証し、Lactobacillus属に対する反応性が寛解期に増加しているとの知見を得ている。本研究では、患者便から分離したEscherichia coliとLactobacillusとの交差反応を検証した。その結果、患者血清IgGはLactobacillus属細菌と高い反応性を示すとともに、活動期ではE. coliにも高い反応性を認めた。患者血清IgGをLactobacillus属細菌で吸収した後、E. coliに対してイムノブロットを行った結果、反応性が有意に低下したことから、Lactobacillus属細菌に対する血清IgGは、E. coliに対しても交差反応を示すことを明らかにした。また、免疫複合体による補体活性化について検討した。抗原抗体複合物による補体の古典的経路の活性化を調べた結果、多くの患者でLactobacillus属細菌とE. coli同時に血清IgGと反応させることで、補体の活性化がE. coli単独での場合と比べ低下した。これらの研究により、Lactobacillus属細菌が、E. coli特異的IgGをトラップし、E. coli等の炎症惹起性の高い菌群と血清IgGによる免疫複合体形成を低下させている可能性を示した。