マウスモデルを用いた免疫チェックポイント阻害剤の新たな治療抵抗メカニズムの解明
日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 河谷 菜津子; 矢島 俊樹; 大瀧 容一; 中澤 世識
本研究では、我々が独自に確立した抗原特異的疲弊化CD8T細胞を生体内の10~50倍程度誘導するモデルを用いて、その疲弊化に関与する各免疫チェックポイント分子(PD-1,CTLA-4,LAG-3,TIM-3,TIGIT)の役割を明らかにし、有効な癌免疫療法の開発を目指す。
モデルでは、OT-Iマウス(OVA257-264特異的T細胞レセプタートランスジェニックマウス)の脾臓からナイーブCD8T細胞を単離しC57BL/6マウスに移入後、EG.7(卵白アルブミン産生EL-4細胞)を皮下接種し、抗原特異的疲弊化CD8T細胞(疲弊化OT-I細胞)を誘導し解析した。前年度までにおいて腫瘍接種後誘導されるOT-I細胞は、各免疫チェックポイント分子の発現(LAG-3、TIM-3、TIGIT)が一部の細胞のみで発現するヘテロな細胞集団で、さらにその発現時期も異なることが明らかとなっていた。続いて、その発現意義を明らかにするため、各免疫チェックポイント分子を発現した細胞の機能の違いを評価した。機能の評価をペプチド 刺激後のIFN-γ発現と細胞傷害活性蛋白であるグランザイム発現で検討した。ペプチド刺激後のIFN-γ産生細胞においてTIGITまたはLAG-3の発現細胞は、TIM-3発現細胞と比べ低下していた。それらの免疫チェックポイント分子の共発現で詳細に検討したが、どの組み合わせでも特にIFN-γの産生が低下した細胞分画を同定できなかった。グランザム発現においては単染色でどの細胞でも同程度の発現を示し、共発現でも特にその発現が低下している分画を同定できなかった。これらのことからTIGITとLAG-3の発現細胞では疲弊化が進んでいる可能性が示唆されたが、その組み合わせで特別な疲弊化細胞を同定できないことが明らかとなった。