「世界の工場」の中国化と日系企業の管理会計・原価管理の現地適用と現地適応
日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2004年 -2007年
代表者 : 井上 信一; 姚 峰; 朴 鏡杓; 宮脇 秀貴
高度経済成長が史上最長の期間継続している中国を舞台に、「世界の工場」という視点から、その経済的、経営的な広がりの解明を目的とした。具体的には、中国経済発展と外資企業の役割というパラダイムの中で、中国経済発展における日系企業の役割と管理会計・原価管理の理論と方法の国際移転(日系企業への)の実態と課題を、グローバルな視点からケース・スタディをベースに考察するため、次の5点の究明を試行した。
1.中国経済の発展、経済開発区(IT高新特区を含む)と投資環境の整備の実態と課題を明らかにした。
2.外資系企業、とりわけ日系企業の中国進出の実態と課題についてマクロ分析した。
3.在中国日系企業の経営管理、管理会計(価格決定、予算管理、業績評価、報酬システム、国際振替価格)の実情とその課題を究明した。
4.日系企業の中国へのコストマネジメント(原価企画、原価改善、標準原価管理)の国際移転のレベルと課題、および生産現場での原価の低減、維持の方法の実態と課題を解明した。
5.国民、経営文化的な脈絡における上記の経営管理や管理会計・原価管理の普遍性と変容及びその現地適用と現地適応という視点から究明した。
以上の研究課題について、中国東北部、渤海湾、長江デルタ地域、華南地域、中西部地域の経済開発区、日系企業を中心に面談調査を行い、種々の発見事項と課題について、理論的、実践的インプリケーションを得ることができた。同時に欧米や東南アジア諸国のケースとの共通性と異質性の認識と共に、「チャイニーズ・パラダイム」構築の必要性も明らかになった。