早期前立腺癌に対する監視療法の精度を高めるためのmpMRIプロトコールの確立
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2017年04月 -2020年03月
代表者 : 杉元 幹史; 田岡 利宜也; 筧 善行; 常森 寛行; 加藤 琢磨; 田島 基史
現在、PRIAS-JAPAN研究ではわが国で41施設が参加している。それらの施設から年間約100例の患者が前立腺癌監視療法に登録されている。2019年3月末までに合計で900例を超える症例が登録された。これはPRIAS研究全体の中でも、世界第3位の登録数を誇っている。現在、各施設におけるMRI不随研究についての参加希望状況と実施可能状況を調整中である。
MRI不随研究での実臨床に即したプロトコールを作成中であり、大筋は合意できている。
まずは適格規準として、監視療法開始後3ヶ月目にMRIを撮像し、PIRADS3以上の所見が認められた部位に対して狙撃生検を行う。最大3ヵ所、1ヵ所につき最大2本まで。そこでグリーソンスコアのアップグレードが認められれば、監視療法をはずれて積極的治療を勧告する。ついで監視療法の経過観察において、PSA倍過時間が10年未満になった場合、直ちに再生検をするのではなくまず1年ごとのMRIで経過を観察する。その間にもしMRIによる進行が認められた場合には、その箇所に対して狙撃生検を施行する。そうすることで生検の頻度や針の刺入本数や量も減少させられる可能性があると考える。さらに1,4,7年目のプロトコール生検時には、その直前にMRIを撮像し、PIRADSスコアが3以上の箇所がある場合には追加生検を行い、より精度を上げることを目指す。このようなプログラムに則って、MRI不随研究を進めていくことに決定している。
また、そのための基礎データとして、自施設での前立腺全摘症例(年間約60例)に対する画像診断能力および病理学的所見との比較検討を継続している。着実に症例数を重ねており。精度および理解度は著しく向上してきている。