膠芽腫幹細胞を標的としたtRNAメチル化酵素阻害剤による制がん戦略の構築
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 藤村 篤史; 石川 吉伸; 黒住 和彦; 富澤 一仁; 安藤 隆幸; 増本 年男; 中村 仁; 魏 范研
我々はこれまでに、膠芽腫幹細胞の幹細胞性を維持するのに必要な標的酵素を同定しており、それらに対する阻害剤の初期ヒット化合物を得ている。この分子機構をさらに解明し、抗がん剤として臨床応用可能なレベルまで化合物を洗練させるため、令和2年度には次の項目に取り組んだ。(1)Target validationの実施、(2)de novo膠芽腫での抗がん作用の実証、(3)リード化合物の創製。(1)については、膠芽腫幹細胞株を用いたノックダウン実験によって、標的酵素が実際にがん幹細胞性(自己複製能、未分化維持能、等)を維持するために必要であることを確認した。(2)については、de novo膠芽腫で用いるための動物種(例えば、GFAP-creマウス)の個体数増加に取り組み、de novo発がんモデルマウスが作出可能であることを確認した。初期ヒット化合物に続く有望な類縁体が完成し次第、いつでも動物実験に取り組めるよう準備を整えた。(3)については、初期ヒット化合物の標的酵素に対する阻害活性を増強させるために、共同研究者とともにドラッグデザインおよびその評価に取り組んだ。その結果、いくつかの修飾基が活性を著しく減弱させたり、あるいは逆に一部の修飾基が阻害作用の維持に必要であったりといった情報を取ることに成功した。このステップを継続することで、標的酵素に対する阻害作用を増強させるために必要な構造活性相関のデータを取りに行くことを、令和3年度以降も継続する。以上、令和2年度に実施した内容を踏まえて、令和3年度以降に実施すべき内容を精査し、効率的に研究の全体計画を進めることができるよう、綿密な準備を整えた。