新規非分解系エンドサイトーシス経路の生理的機能と病態との関連
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2019年04月 -2023年03月
代表者 : 川合 克久; 荒木 伸一; 江上 洋平
本研究の解析対象であるマクロパイノサイトーシス様の新規輸送経路は次の特徴を示す。(1)取り込みの初期の段階でマクロパイノソーム様の構造から長い管状構造を形成する。(2)マクロパイノソーム様の構造のカップが閉じずに消滅する。これまでに我々は、マクロパイノソーム様構造および出芽した管状構造にはRab10が強く局在することを見出している。まず我々は、Rab10陽性新規輸送経路の形成条件について解析を行った。その結果、通常の培養条件下でのRAW264細胞(マウスマクロファージ)では、Rab10陽性新規輸送経路は低頻度にしか発生しなかった。PMA刺激を行うとRAW264細胞は従来型のマクロパイノサイトーシスを盛んに形成した。しかしながら、この時Rab10陽性新規輸送経路は低頻度にしか発生しなかった。PI3K阻害剤であるwortmaninnを前処理しPMA刺激した場合では、従来型のマクロパイノサイトーシスの形成は阻害された。一方、Rab10陽性新規輸送経路は高頻度に発生した。wortmaninn以外のPI3K阻害剤によっても同様の結果を得た。このことからPI3Kによって産生されるPI(3,4,5)P3が従来型の輸送経路とRab10陽性新規輸送経路の分岐をつかさどる鍵分子であることが示唆された。今後、PI(3,4,5)P3がどのように経路の調節を行っているかの解析を進めていく。
新規輸送経路により運ばれる分子の同定を行うことを目的に受容体(TLR、CD64、MHC classII)およびGPIアンカーなどの様々な膜成分をモニターするための蛍光ラベル融合体発現系を構築し、それらのRAW264細胞における発現を確認した。今後これらのツールを利用し、それぞれの分子がどの程度Rab10陽性新規輸送経路によって運ばれているのかを明らかにする。