母児相互作用の客観的評価の確立と発達的変化‐母乳育児中の脳酸素代謝を指標として
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2015年04月 -2020年03月
代表者 : 谷本 公重; 日下 隆; 西田 智子; 加藤 育子; 三木 崇範; 鈴木 智子; 鈴木 麻友
携帯型近赤外光組織酸素モニター装置を用いて、乳児とその母親の前頭部の脳血流状態の変化を同時測定した。測定結果におけいてその同期性について着目し、母子相互作用に関与する神経相関を明らかにすることを目的とした。実際に測定できたのは、研究参加の同意が得られ、妊娠分娩歴とその後の乳児に身体異常を認めなかった完全母乳中の乳児とその母親、5組。乳児と母親のそれぞれの前頭部に、サイズを合わせたプローブを左右にセットし同時に測定した。測定開始はまず、乳児をベッドに寝かせ、母親はベッドサイドに座り、その間にパテーションを置き、お互いが目視的に確認をできない状態から始めた。5分程度のその状態から、次に母親が乳児のそばに行き、乳児に対して声を掛けたり、触ったり、抱っこする、いわゆるあやす状態で測定を続けた。さらに母親が乳児を抱っこする状態でもその測定を続けた。そして、授乳の状況でもその測定を続けた。今年度は、複数のアナログデータを同じタイミングで記録することのできるPowerLabシステムを導入した。測定データは0.01秒ごとに取得し、エクセルへ移行している。乳児も母親も体動があるため、ノイズも多い。ExpSpecctrumを用いてのドリフト除去の依頼を行っているところである。データをグラフ化し確認したところ、母親は全体的に変化は多くない。乳児は、母親が確認できない状態では、データの変化(振幅、周期)が大きく、またその変化は不規則。授乳中は変化に関して一定のリズムが確認できた。