研究者データベース

山本融 (ヤマモト トオル)

        
    医学部 医学科 
  • 教授
Last Updated :2026/06/24

研究者情報

学位

  • 博士(薬学)(1992年03月 東京大学)

J-Global ID

プロフィール

  • 脳・神経系はどのようにして生まれ、成熟していくのか?形成された神経回路網はどのようにして100年以上にもわたって維持され得るのか?私たちの意識の源である神経系の成り立ちを、種々の方法論とモデル系を駆使して明らかにしようとしています。そして、こうして巧妙に構築されているシステムが、どのようなきっかけで安定を失い「病気」になるのかをつきとめたいと考えています。

研究キーワード

  • 統合失調症   自閉スペクトラム症   小胞輸送   軸索輸送   シナプス形成   神経発生   アルツハイマー病   神経回路   神経分化   運動神経   軸索ガイダンス   大脳皮質   軸索伸長   ニワトリ   電気穿孔法   脊髄神経   脊髄   

研究分野

  • ライフサイエンス / 薬理学
  • ライフサイエンス / 神経科学一般
  • ライフサイエンス / 細胞生物学
  • ライフサイエンス / 薬系衛生、生物化学
  • ライフサイエンス / 神経形態学
  • ライフサイエンス / 分子生物学

経歴

  • 2013年08月 - 現在  香川大学医学部 医学科教授
  • 2006年04月 - 2013年07月  北海道大学 薬学研究院准教授
  • 2003年05月 - 2006年03月  理化学研究所発生・再生科学総合研究センター研究員
  • 2000年06月 - 2003年04月  東北大学加齢医学研究所助手
  • 1999年04月 - 2000年05月  コロンビア大学博士研究員
  • 1993年04月 - 1999年03月  東京大学分子細胞生物学研究所助手
  • 1992年04月 - 1993年03月  日本学術振興会特別研究員(PD)
  • 1991年04月 - 1992年03月  日本学術振興会特別研究員(DC)
  • 1989年04月 - 1990年06月  ロックフェラー大学訪問研究員

学歴

  •         - 1992年03月   東京大学   大学院薬学系研究科   生命薬学専攻
  •         - 1987年03月   東京大学   薬学部   薬学科

所属学協会

  • 日本分子生物学会   日本生化学会   日本薬学会   日本解剖学会   日本神経科学学会   

研究活動情報

論文

MISC

  • パーキンソン病の新規バイオマーカーとしての血中p-3alcadein αに関する検討
    國土曜平; 高田忠幸; 高橋弘雄; 羽田沙緒里; 鎌田正紀; 出口一志; 峠哲男; 正木勉; 鈴木利治; 山本融 日本神経学会学術大会プログラム・抄録集 62nd (Suppl.) S315 -S315 2021年
  • 山本 融 ライフサイエンス 新着論文レビュー 2016年09月 [招待有り]
  • 抑肝散の行動異常に対する基礎的検証
    中村 丈洋; 劉 亜南; 四宮 あや; 山本 融; 田宮 隆 脳神経外科と漢方 = Journal of neurosurgery and kampo medicine : 日本脳神経外科漢方医学会機関誌 2 18 -24 2016年
  • 神経アダプタータンパク質による細胞内シグナル伝達と細胞応答機構
    住岡 暁夫; 山本 融; 鈴木 利治 生化学 78 (10) 949 -956 2006年10月 [招待有り]
  • 神経回路網形成に関わる新規因子を探せ : 1個の細胞のcDNA解析からのアプローチ
    山本 融 化学と生物 42 (2) 79 -81 2004年02月 [招待有り]
  • 遺伝子発現制御における新理論 染色体機能領域および境界領域の形成機構の解明
    堀越正美; 山本融; 梅原崇史; 鈴木亨; 安達成彦; 木村暁 蛋白質 核酸 酵素 48 (3) 205-222 -222 2003年03月 [招待有り]
  • 酵母をモデルとした転写調節機構の解析 (転写因子--生物機能調節の要) -- (基本転写因子と転写因子間相互作用)
    堀越 正美; 山本 融 蛋白質核酸酵素 41 (8) 1148 -1161 1996年06月 [招待有り]
  • 特集: 遺伝子発現と転写因子 Part1 転写調節の基礎 転写コンポーネントの概説
    堀越正美; 山本融 Mebio 11 (1) 26-35 1994年01月 [招待有り]
  • DNA結合タンパク(下) 転写開始タンパク
    山本融 Cell Sci 7 (6) 460-469 1991年06月 [招待有り]

受賞

  • 井上科学振興財団 井上研究奨励賞
     
    受賞者: 山本 融

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • Alcadeinによる「特権的」小胞輸送とその生理的意義の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 山本 融
  • 神経回路の新しい興奮性/抑制性バランス制御機構に着目した精神神経疾患治療薬の探索
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 山本 融
     
    精神神経疾患は誰もが罹患しうるコモンディジーズであり、その克服は重要な課題である。その分子病態の背景として神経への興奮性入力と抑制性入力のバランス(E/Iバランス)偏移が注目され、興奮性・抑制性両シナプス形成に中心的な役割を担っているニューレキシン-ニューロリギン系の解析が精力的におこなわれている。我々は、GPIアンカー型膜タンパクMDGA1・MDGA2がニューレキシン-ニューロリギン相互作用をニューロリギンに対する直接結合により負に制御しており、その異常によりE/Iバランスがそれぞれ抑制側・興奮側に偏移することを明らかにし、報告している。本研究ではこうしたMDGAファミリー分子群によるE/Iバランス制御能に着目し、MDGAの欠失により各種精神神経疾患に通底する分子病態であるE/Iバランスが偏移した場合、どのような認知・行動異常が現れるかを解析し、高次脳機能統御におけるE/Iバランスの意義を明らかにするとともに、こうした異常を改善する薬剤の探索による精神神経疾患創薬シーズの獲得を目的としている。本年度はMDGA1欠失マウスの解析をさらに進め、その欠失のみならず、減少によっても顕著な認知・行動異常が認められることを明らかにした。このことはMDGA1のE/Iバランス制御機構における生理的重要性を改めて裏書きするとともに、E/Iバランスの人為的制御のターゲットとしても有望であることを示している。さらに、新規薬剤探索のために開発したMDGA-ニューロリギン相互作用定量系をその他のシナプス形成制御因子群の解析に応用したところ、これまでに報告されていない新たな制御系の存在が示唆された。
  • MDGAファミリー分子群による興奮性/抑制性シナプス形成と社会性行動の制御
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2016年04月 -2020年03月 
    代表者 : 山本 融
     
    興奮性・抑制性シナプス形成のバランス(E/Iバランス)を適切に維持することは神経回路網を正常に機能させていくために必須であり、その異常は自閉スペクトラム症(ASD)や統合失調症などの原因ともなる。シナプス形成を正に制御する機構については多くの解析がなされ、その実態がかなりの程度明らかにされているが、E/Iバランスを適切に制御するのに必要な、シナプス形成を負に制御する機構については不明な点が多い。我々は、IgSFに属するGPIアンカー型の細胞外タンパク質であるMDGAファミリー分子群がニューロリギンファミリー分子群と相互作用してその機能を抑制することによりシナプス形成を負に制御していること、また、その欠失によりE/Iバランスが崩れ、種々の行動異常が引き起こされることを明らかにし、解析を進めている。これまでに、MDGA2欠失マウスにおいてはE/Iバランスの興奮側へのシフトと、これに伴うASD様の社会性行動異常が認められること、また、MDGAファミリーのもう一つのメンバーであるMDGA1欠失マウスにおいては、MDGA2欠失マウスとは逆に、E/Iバランスの抑制側へのシフトと、これによる学習・記憶障害がもたらされること、さらに、社会性行動の一部にMDGA1欠失マウスとMDGA2欠失マウスとの間に正反対な形質が認められることを明らかにしている。今年度は、こうした解析結果の精緻化を進めるとともに、MDGA1のヘミ欠失体の解析をおこなった。その結果、上記傾向が確認されるとともに、MDGA1のヘミ欠失体にも学習記憶障害が認められること、さらに、この障害は、ドラッグリポジショニングの観点から新たに探索した既存薬により改善できることを明らかにした。
  • MDGAファミリー分子群の大脳皮質神経回路網形成機構における役割
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 山本 融
     
    MDGAファミリータンパク質はMDGA1・MDGA2の2種類からなるイムノグロブリンスーパーファミリーに属するGPIアンカー型の細胞外タンパク質である。大脳皮質形成期においてMDGA1は上層の一部に、またMDGA2はほぼすべての神経において発現が認められ、MDGA1は一部の神経の正常な放射状移動に必要であった。しかしながら最終的な皮質構築に顕著な異常はなく、その発現は終生続くことから、その後の神経回路網形成機構における役割の解析を進めた。その結果、ニューロリギンとの相互作用を介してシナプス形成バランスを維持しており、その機能低下は統合失調症・ASD様の行動異常を引き起こすことを明らかにした。
  • 大脳皮質構築過程におけるMDGAファミリー因子群の役割
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2010年 -2012年 
    代表者 : 山本 融
     
    MDGAファミリータンパク質はMDGA1,MDGA2の2種類からなるイムノグロブリンスーパーファミリーに属するGPIアンカー型の細胞外タンパク質である。これらは中枢神経系において特徴的な発現様式を示し、なかでもMDGA1はマウス大脳皮質においてはII/III層選択的に発現する。MDGA1およびMDGA2欠失マウスをそれぞれ作製し、その大脳皮質構築過程における役割を解析したところ、MDGAファミリー因子群は、これらを発現する神経群において、その皮質板内における正常な放射状移動に必要であることが明らかとなった。また、欠失マウスの表現形と、脳梁交連神経群の一部サブタイプの皮質板内での移動様式から、皮質板内における放射状移動には多様性があることが示唆された。
  • 脊髄上行路形成過程の解析とその分子機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究課題提案型)
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 山本 融
     
    脊髄上行路は体内外の様々な感覚情報を上位中枢へと伝達する重要な経路であるが、その形成過程はこれまでほとんど明らかになっていなかった。我々は、ニワトリ胚をモデル系とし、本研究のために新たに改良を加えた電気穿孔法と、走行軸索の高感度検出法を用いることにより、脊髄上行路の伸長経路・速度・投射先などの詳細を初めて明らかにした。また、その分子機構を解明していくための時空間選択的な遺伝子発現制御系を確立し、さらに、前・後脊髄小脳路をはじめとする主要な上行路の選択的な可視化を進めた。これらの結果により、脊髄上行路形成の初期過程の全体像が明らかになるとともに、脊髄は単なる軸索の通り道ではなく、その走行を制御する機構をも併せ持った精妙な組織であることが示された。
  • 運動神経の特定機能単位選択的に働く新規遺伝子群の解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2004年 -2004年 
    代表者 : 山本 融
     
    我々は運動神経をモデル系とし、その軸索伸長・経路選択・標的認識機構を、こうした過程に関与しうる因子を探索し解析することから明らかにしようとしている。16年度は、LMCm運動ニューロンに選択的に発現し、これまでにその軸索ガイド因子としての基本的な性質を明らかにしたFY29について、その作用の分子機構を探るべく解析を加えた。FY29は複数のIgドメインとMAMドメインをもつGPI結合型の細胞外タンパクであるが、欠失変異体を作製し解析した結果、MAMドメインを介して軸索上のco-receptorと、また、Igドメインを含むN末側の領域を介してligandと結合するものと考えられた。さらに、N末側4つのIgドメインはligandとの結合に必要であり、これらを欠失させると、軸索上のco-receptorとの結合が顕著に増強されることを明らかにした。こうしたことから、この因子のIgドメインを含むN末側の領域がligandと結合することにより、そのMAMドメインとco-receptorとの結合が増強されることでシグナルの伝達が行われるものと推測された。これらco-receptorとligandの同定が今後の課題である。また、未だ不明な点の多い運動神経の神経管からの遊出機構を探る目的で、運動神経の誕生直後から運動神経に特異的に発現する因子群の単離を試みた。その結果、いくつかの候補因子を単離したが、そのうちの一つは運動神経に高度に特異的に、しかもその誕生時に一過的に発現するという興味深い発現パターンを示した。解析を進めたところ、この因子は進化上高度に保存された細胞質性因子をコードしていることが明らかになった。培養細胞において大過剰に発現させると、その形態と運動性に著しい変化をもたらすことから、細胞骨格系の制御を通じて、運動神経の軸索伸長時において重要な役割を果たしていることが推察された。
  • 造血微小環境による造血幹細胞の分化制御機構
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2000年 -2004年 
    代表者 : 帯刀 益夫; 東海林 亙; 山本 融; 矢内 信昭
     
    造血幹細胞の増殖と分化は骨髄などの造血組織の微小環境(Niche)によって制御を受けており、この微小環境による幹細胞の制御機構は、がん細胞が悪性化してゆく際の間質との相互作用の役割を考える上からも重要である。本研究では、間質細胞依存に増殖する未分化血液細胞株を用いて、間質細胞の制御因子の機能解析を行い、以下のような結果を得た。 (1)未分化血液細胞の増殖には、sphingosine-1 phosphateやLysophosphatidic acidなどの脂質が必要であり、血液細胞の間質細胞への潜り込みなど運動性を制御していることを明らかにした。 (2)赤血球造血支持機能を示す骨髄間質細胞において、tenascin-cが支持細胞株で有意に発現が高いことを確認し、siRNAによりその発現を低下させると赤血球支持機能の低下が認められ、間質細胞の赤血球前駆細胞増殖制御の重要な因子であることを実証した。 (3)造血幹細胞維持機能の高い間質細胞株に強い発現が認められる遺伝子(MysPDZ=Myo18A)を単離し、そのドメイン構造に依存して細胞内顆粒および細胞膜直下の局在、細胞内の移動や細胞内輸送が制御される事を示した。 (4)ephrinB2の発現が血液細胞の運動性を規定し、その受容体としてのEph受容体とともに細胞間の双方向のシグナル伝達に関係し、未分化血液細胞の分化の可塑性の制御を担う分子として機能していることを示した。 (5)造血微小環境を構成する骨髄間質細胞が間葉系幹細胞の性状をもつことを示した。とくに、数株の細胞の培養系で拍動する心筋への分化誘導が起きることを確認した。また、いくつかの間質細胞株が骨格筋、平滑筋、骨、脂肪、内皮細胞などに分化する能力を持つ間葉系の幹細胞の性状を持つことを明らかにした。
  • 運動神経の特定機能単位選択的に働く新規遺伝子群の解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2003年 -2003年 
    代表者 : 山本 融
     
    我々は運動神経をモデル系とし、その経路選択・標的認識機構を、こうした過程に関与しうる因子を探索し解析することから明らかにしていこうとしている。本年度は、LMCm運動ニューロンに選択的に発現する因子として新たに単離した因子FY29について、その基本的な性質を明らかにした。FY29は複数のIgドメインをもつ未解析の細胞外タンパクであり、その細胞外分泌性を検討したところ、GPI付加を受け、細胞膜上にとどまることが明らかとなった。また、遺伝子の構造から、GPI付加シグナルを欠いた分泌型の存在が予測された。この因子の結合する領域を調べたところ、軸索の走行する領域にheterophilicに強く結合し、そのふるまいに何らかの影響をおよぼすことが推測された。そこで、explantを用いたin vitro assayをおこなった結果、軸索の運動の方向性には影響を与えないが、そのfasciculationを阻害することが明らかとなった。また、in ovoで表在神経系に強制発現させると、そのfasciculation、path findingに異常が見られ、また、commissure neuronのdorsalmarginal zoneへの集合を阻害することから、この因子は、fasciculationの調節になどに関わる新規のaxon guidance moleculeであることが強く示唆された。さらに解析を進めた結果、この因子は運動神経の標的である筋肉とも強く結合し、その標的認識過程にも深く関与していることが推測された。
  • 新規遺伝子群による運動神経回路網形成機構の解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 山本 融
     
    運動神経をモデル系とし、その回路網形成に関与しうる新規・未解析因子の検索を目的として、発生学的な解析が進んでいるニワトリ胚を用い、単一の運動神経細胞からそれぞれcDNAを調製することにより、運動神経の特定機能単位・特定分化ステージにおいて選択的に発現される因子の単離・解析を進め、四肢の腹側に投射するLMCm運動神経、および四肢の背側に投射するLMC1運動神経にそれぞれ選択的に発現する新規・未解析因子群の単離に成功した。これら因子群はすべて進化上高度に保存されていることから、生命現象において基本的に重要な役割を担っていることが推測され、神経回路網形成の分子機構を明らかにする上で、これまで着目されてこなかった観点からアプローチするための多数の手がかりを得ることができたと考えられる。さらに、本研究目的のために開発したスクリーニング法の普遍性・有効性が確証されたことから、現在なお不明な点が多い運動神経回路網形成の最初期過程における分子機構を探る目的で、運動神経に特異的にその誕生時において選択的に機能しうる因子の探索を試みた。その結果、中枢神経においては運動神経に特異的に、しかもその誕生時に一過的に発現がみられる因子を単離することに成功した。この因子は同じく進化上高度に保存された細胞質性の未解析因子であり、相互作用因子を探索したところ、細胞骨格の制御に関わる因子群と協働することが推測された。そこで、培養細胞において過剰に発現させたところ、その形態と運動性に顕著な変化が誘導された。これらのことから、この因子は運動神経の軸索伸長時における細胞骨格制御に重要な役割をはたしていることが予測された。
  • 造血微小環境の細胞生物学的研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2002年 -2003年 
    代表者 : 帯刀 益夫; 東海林 亙; 山本 融
     
    造血微小環境がいかにして形成、維持されるかを解明するため、骨髄から間質細胞株を多数樹立し、これら間質細胞を用いて、血液幹細胞を維持できる造血微小環境を培養系で再構成し、これら間質細胞依存に増殖・維持される未分化な血液幹細胞株を樹立した。 この造血微小環境を構成する骨髄間質細胞の特性を検討し、間質細胞が、筋細胞、骨芽細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、心筋などへと分化誘導される間葉系幹細胞または前駆細胞であることを示した。そして、血液細胞が産生するオンコスタチンMが、間質細胞の造血支持機能を促進するとともに、間葉系細胞分化の制御もすることから、造血細胞と間質細胞の双方向の細胞間相互作用により互いを制御することにより造血微小環境を恒常的に維持していると予想された。これら間葉系幹細胞株2株について、分化誘導時に共通に発現変換する遺伝子をマイクロアレイ法により解析した結果、共通に抑制を受ける遺伝子は20種程度であり、エピジェネテイックな制御に関わると思われる遺伝子群が大半を占めた。また、誘導される遺伝子群は間葉系細胞の分化特異的遺伝子群と特徴的な転写因子群であった。 造血支持機能の強い間質細胞に高い発現が認められる遺伝子としてDifferential Display法により新規遺伝子を単離した。この遺伝子は蛋白相互作用に関与するPDZドメインをもつ新規のミオシン遺伝子(MysPDZ=Myo18A)であり、このドメインに依存した細胞内顆粒および細胞膜直下の局在、細胞内の移動や細胞内輸送に関与する事が予想される結果が得られており、間質細胞の支持機能との関係に興味がもたれる。MysPDZは、間質細胞とは異なり、PDZドメインを欠く血球、筋肉細胞、神経細胞に特異的な3種のアイソフォームが存在する事が分かり、その組織特異的な機能について興味が持たれる。
  • 運動神経の特定機能単位選択的に働く新規遺伝子群の解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2002年 -2002年 
    代表者 : 山本 融
     
    我々は運動神経をモデル系とし、その経路選択・標的認識機構を、こうした過程に関与しうる因子を探索し解析することから明らかにしていこうとしている。こうして新たに単離されたFY29は、LMCmニューロンに選択的に発現が見られ、完全長cDNAの単離から、複数のIg domainをもつ未解析の分泌性様タンパクをコードしていることが明らかとなった。FY29は発生初期にはnotochordやfloor plaleといった、神経管の背腹軸形成や軸索経路選択においてsignaling centerとしての役割を果たしている細胞群に発現しており、その後、運動神経が四肢へ軸索を伸長し始めるHH stage 23以降の胸部LMCmニューロンに選択的な発現が認められる。また興味深いことに、投射先である四肢の間充織細胞において、表在神経系が分岐するごく近傍の領域にも発現が観察された。ついで、FY29が分泌性様の因子であることから、FY29のアルカリフォスファターゼ融合タンパクをニワトリ胚切片に反応させて、これが作用し得る部位を検証した。その結果、FY29は軸索の存在する領域に選択的に結合することが明らかとなった。また、explant cultureを利用した解析から、神経軸索のfasciculationに影響を与えることが示唆された。そこで、in ovo electroporation法により、FY29をニワトリ胚の神経管と後根神経節において強制発現さたところ、FY29を発現した神経の走行経路の一部に異常が観察された。これらの結果から、FY29は運動神経をはじめとする神経群の走行の調節に関与する、新しいaxon guidance活性を持つ因子であることが推測された。
  • 運動神経の軸索伸長経路の決定に関与する因子群の探索と解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 萌芽的研究
    研究期間 : 2001年 -2001年 
    代表者 : 山本 融
     
    解析が最も進んでいるニワトリ胚を用い、四肢の腹側に投射する運動神経であるLMCm、および背側に投射するLMCIの両運動神経群の性質決定が確立した時期の同一個体の同一体節上の脊髄から細胞を分離し、こうして分離された単一の神経細胞からそれぞれcDNAを調製した。それぞれのcDNA中に含まれる運動神経マーカーの存在パターンを解析することにより、LMCm、およびLMCIに由来するcDNAをretrospectiveに同定した。ついで、suppressor PCR-mediated subtractionを単一細胞由来のcDNAに適応できるよう独自に改良した方法でsaサブトラクトし、LMCm細胞には発現しているが、LMCI細胞には発現していない因子が濃縮されているsubtracted libraryを作成した。さらに、このlibraryを用いて、LMCm細胞に選択的に発現している因子を、differential hybridizationによる一次スクリーニングとin situ hybridizationによる二次スクリーニングにより多数単離することに成功した。これら因子群は運動神経以外にも中枢神経系の特定領域に発現しており、各神経群の性格付けに重要な役割を果たしていることが予想された。また、運動神経選択的、LMCI選択的に発現する因子群が濃縮されたsubtracted libraryを作製し、小規模なスクリーニングを行った結果、期待される発現パターンを示す因子群が単離され、本研究のために開発した方法が普遍的に有効であることを確認した。
  • 運動神経分化の過程で機能単位選択的に働く遺伝子群の探索と解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究(C)
    研究期間 : 2001年 -2001年 
    代表者 : 山本 融
     
    新たに単離されたLMCm選択的に発現する因子群から、これまでに4種の新規遺伝子を同定し、それぞれの完全長cDNAの単離を終了した。2つは進化上高度に保存された膜タンパクであり、うち一つはカドヘリン様構造と、新規で特徴的な細胞質領域をもっており、細胞間のコミュニケーションに関わっていることが推測された。その機能発現にかかる機構解析への手がかりをつかむために、この細胞質領域と相互作用する因子を探索し、これまでにscaffold proteinであるMINT2と結合することを明らかにしている。もう一つはpore domainがtandemにつながったユニークな構造を持つK+channelであった。残りの2つは分泌性のタンパクであり、一つはIgGドメインをもつが、一つには既存の構造モチーフは見られない。発生過程において、前者はLMCmに加えて、notochordやfloor plateといった、神経管の背腹軸形成や軸索経路選択においてsignaling centerとしての役割を果たしている細胞群にも発現が見られ、また、後者も脳の一部特定領域にのみ発現が見られることから、運動神経のみならず、他の神経群の機能分化、経路選択においても重要な役割を果たしていることが考えられた。さらに、これら因子群のin vivo機能解析を比較的簡便に行うために、ニワトリ胚の運動神経のみに目的の遺伝子を発現させるシステムを構築した。通常法では介在神経や後根神経節にも遺伝子が導入され、特に末梢において運動神経の挙動のみを観察することが困難であったが、これにより、導入遺伝子の影響を受けた運動神経のin vivo解析を容易に行うことを可能にした。
  • HIV転写調節因子と相互作用する新規因子群の解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 重点領域研究
    研究期間 : 1997年 -1997年 
    代表者 : 山本 融; 堀越 正美
     
    HIVの転写調節反応には、Sp1、NF-κBがDNAエレメントに結合して働くこと、HIVウイルス遺伝子由来のTat因子が反応調節に関与することなどが示されている。しかしながら、Sp1が結合するとされるDNAエレメントはSp1コンセンサス配列とは異なり、他の因子が相互作用している可能性が考えられる。また、Tatにしてもその標的因子の解析は広く進められているものの、その中で決定的な因子は見出されていないといえる。本研究では、今までの知見を越える新しい成果を得ることができた。 1)HIVプロモーター領域に結合する新しいタイプの転写因子の単離とその解析 Sp1結合部位と考えられるDNAエレメントは、Sp1コンセンサス結合配列とは異なるので、Sp1とは異なる因子が相互作用する可能性が考えられる。そこで、このDNAエレメントに相互作用する因子の単離を試みたところ、Sp1とは異なるが、zinc finger構造を持つ因子が単離された。この因子のDNA結合活性や転写活性化能についても解析を加えた。この知見は、HIVの転写調節を考える上で新たな方向性を示している。 2)Tatと相互作用する新しいタイプの因子の単離 Tatと相互作用する因子として様々なタイプのものが単離されているが、どれひとつを取ってみても真の因子であることは証明されていない。TFIIDと相互作用する因子として単離された因子の中に、Tat相互作用因子として得られた因子と一致するものがあった。この因子がヒストンH2A、H3、H4をアセチル化する新規のヒストンアセチルトランスフェラーゼ酵素であることを明らかにし、HIV転写の新局面を切り開くことができた。
  • HIV転写調節因子と相互作用する新規因子群の検索
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 重点領域研究
    研究期間 : 1996年 -1996年 
    代表者 : 山本 融; 堀越 正美
     
    HIVの転写調節反応は、転写調節因子であるとされるSp1、NF-κBがDNAエレメントに結合して働くこと、HIVウィルス遺伝子由来のTat因子が反応調節に関与することなどが示されている。しかしながら、Sp1が結合するとされるDNAエレメントはSp1コンセンサス配列とは大きく異なり、異なる因子が相互作用している可能性が考えられる。また、Tatにしてもその標的因子の解析は広く進められているものの、その中で決定的な因子は見出されていないといえる。本研究では、これらの知見を越える新しい成果を得ることができた。 1)HIVプロモーター領域に結合する新しいタイプの転写因子の単離:Sp1結合部位と考えられるDNAエレメントは、Sp1コンセンサス配列とは大きく異なるので、Sp1とは異なる因子が相互作用している可能性が考えられる。そこで、このDNAエレメントに相互作用する因子の単離を試みたところ、Sp1とは異なるが、Sp1と同様のタイプのzinc finger構造を持つ因子が単離された。このことはSp1でなく、この因子が相互作用してHIV転写で機能する可能性を示唆している。この知見は、HIVの転写調節を考える上で新たな方向性を示している。 2)Tatと相互作用する新しいタイプの因子の単離:Tatと相互作用する因子として様々なタイプのものが単離されているが、どれひとつを取ってみても真の因子であることが証明されていない。TFIIDと相互作用する因子として単離されてきた因子の中に、Tat相互作用因子として得られた因子群のひとつと一致するものがあった。しかも、この因子はヒストンアセチルトランスフェラーゼ様因子であること、そのTFIIDサブユニットがヒストン相同性を持つことから、これらの結果は極めて合理的であるといえるばかりでなく、HIV転写の新局面を切り開けると考えられる。
  • ブロモドメインと相互作用する新規グローバル転写活性化因子の解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 1996年 -1996年 
    代表者 : 山本 融; 堀越 正美
     
    ブロモドメインはグローバルに作用する新しいタイプの転写因子に広く含まれている構造ドメインで転写因子間相互作用に関わり、クロマチン転写などに働くものであると考えられている。一方、TFIIDはクロマチン転写に関わると考えられているもののどのような段階にどのように関わるかは明らかでないが、ここに示したブロモドメインをもつサブユニットCCGlを持つ。したがって、このブロモドメインを手がかりにTFIIDの持つクロマチン転写における機能的役割を明らかにする目的で以下の解析を進めた。 1)ブロモドメインと相互作用する新しいタイプの因子として単離した因子BCFの解析 ブロモドメインと相互作用する因子として単離したBCFの発現パターンを解析したところ、分化特異的、発生特異的に発現していることが明らかになった。また、それらの機能解析を進めるため、酵母において大量発現したところ、クロマチン転写が大きく変化するmatingを阻害することが示され、遺伝子のサイレンシング状態の解除に関与していることが示唆された。 2)ブロモドメインと相互作用する活性で単離した因子BCFと相互作用する因子の単離と解析 BCFの機能解析を進めるために、BCFの温度感受性変異株を得て、抑圧株を単離するという遺伝学的解析を利用している他、BCFと相互作用する因子をtwo-hybrid法により単離した。その結果、多くの未知因子の他にクロマチン関連因子が7種単離され、BCFがクロマチン転写において中心的な機能を担っていることが示唆された。
  • 転写調節機構の解析-調節因子と基本因子との相互作用を中心とした解析-
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 重点領域研究
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 堀越 正美; 葛原 隆; 山本 融
     
    (1)ヒトTFIIDサブユニットをコードするcDNAの単離とその解析 ヒストン相同性を持つヒトTFIIDサブユニットをコードするcDNAを4種単離した。それらのTFIIDサブユニットと他のTFIIDサブユニットや基本因子群との相互作用も解析した。 (2)TFIIDサブユニットをコードするcDNAの様々な種からの単離 構造・活性相関解析などの実験を考慮し、TFIIDサブユニットをコードするcDNAを様々な種から多数単離した。 (3)転写基本因子群をコードするcDNAの単離 転写基本因子群の構造活性相関の解析を進める目的で様々な種から転写基本因子群をコードするcDNAの単離を行った。 (4)TFIIEサブユニットの構造・活性相関解析 転写基本因子TFIIEの様々な欠失蛋白質を作製し、基本転写活性やTFIIH依存のリン酸化活性制御能を指標に構造・活性相関解析を行った。 (5)転写調節因子による転写不活性化機構の解析 H-2K^bクラスI遺伝子やc-erbB-2遺伝子の転写を抑制する分子機構を明らかにする目的で解析を行い、TATAボックスの転写抑制機構における重要性を指摘した。 (6)組織特異的な転写伸長因子S-IIをコードするcDNAの単離 S-IIの組織特異的な機能解析を行う目的で精巣・卵巣特異的ヒトS-IIをコードするcDNAを単離した。総合的な解析を進めるためにマウス、ラットからもS-II因子族3種のcDNAを単離した。
  • 細胞周期因子CCG1と相互作用する因子の機能解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 重点領域研究
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 山本 融; 堀越 正美
     
    TATAボックス結合因子TFIIDは、転写開始反応において重要な役割を演じるばかりでなく、様々な生命現象においてその特異的活性を発揮する因子である転写調節因子と相互作用することによって、転写調節反応に中心的な役割を持つことを報告者らは示してきた。本研究では細胞周期G1→S移行期に重要な機能を発揮するTFIIDサブユニットCCG1と相互作用する因子群を単離し、解析することを目的に以下の解析を進めた。 1)G1→S移行期に関与する進化上保存された領域に相互作用する因子群をコードするcDNAの単離 G1→S移行期に関与する進化上保存された領域に相互作用する因子群をコードするcDNAを蛋白質-蛋白質相互作用活性に基づいたtwo-hybrid法によって2種単離した。ひとつは細胞内シグナル情報伝達システムに関わる因子であり、現在その機能的役割を解析している。もうひとつは未知因子であったが、細胞内局在性や転写活性化能を解析した。 2)G1期の転写に重要なSWI4と相同性を有する領域に相互作用する因子群をコードするcDNAの単離 G1期の転写に重要なSWI4と相同性を有する領域に相互作用する因子群をコードするcDNAをtwo-hybrid法によって各種単離した。そのひとつは自己免疫疾患に関わる因子であり、しかもそれは核に存在していることが明らかにされている。現在、その因子とTFIIDとの関係、細胞周期との関係を解析している。
  • TFIID内Bromodomainの相互作用因子の機能解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(C)
    研究期間 : 1995年 -1995年 
    代表者 : 山本 融; 堀越 正美
     
    Bromodomainはグローバルに作用する新しいタイプの転写因子に広く含まれている構造ドメインで転写因子間相互作用に関わり、クロマチン転写などに働くものであると考えられている。一方、TFIIDはクロマチン転写に関わると考えられているもののどのような段階にどのように関わるかは明らかでないが、ここに示したBromodomainをもつサブユニットCCG1を持つ。したがって、このBromodomainを手がかりにTFIIDの持つクロマチン転写における機能的役割を明らかにする目的で以下の解析を進めた。 1)Bromodomainと相互作用する新しいタイプの因子をコードするcDNAの単離 Bromodomainと相互作用する因子をコードするcDNAを蛋白質-蛋白質相互作用活性を指標にしたスクリーニング法、すなわちtwo-hybrid法により単離した。そのうち、5種は未知因子であったが2種の因子は互いに似ているばかりでなく、出芽酵母より遺伝学的に単離されていた因子のヒトホモログでクロマチン転写に関わるであろう性質を持っていた。 2)Bromodomainと相互作用する活性で単離した因子の性状解析 単離した上述の2種の因子とCCG1のBromodomainとの相互作用の特異性検定後、この因子の局在性や発現パターンを調べたところ核内に存在すること、一方はどの組織でも発現しているが、他方は幾つかの組織でしか発現しておらず、組織特異的な活性を担い得る因子であろうことが判明した。しかもこの因子は既存の転写因子の構造モティーフを持たないことから、新しいタイプの転写調節反応に関わるであろうことが示唆された。
  • 転写調節機構系を利用した新しいタイプの医薬品開発を目指した基礎研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 試験研究(B)
    研究期間 : 1994年 -1995年 
    代表者 : 堀越 正美; 山本 融; 橋田 亮一
     
    転写調節反応は、DNA-転写因子、転写因子-転写因子間相互作用の様々な特異性のある相互作用の組み合わせ、集積によって行われている。しかも転写反応は各遺伝子の発現量を調節するため、その調節が崩れる際には病気になることも考えられ、いわゆる医薬品開発のための新しい領域になり得ることが考えられる。そこで本申請研究では、転写調節系を利用した医薬品開発の基礎的条件の確立を目指して簡便な検定法の開発や医薬品開発の標的となり得るような転写因子群の単離を試みることにした。 1)医薬品開発に関わる新しい転写因子群の単離 転写因子-転写因子間相互作用やDNA-転写因子間相互作用に関わる今までに見出されていない補助因子(コファクター)を単離する目的で、報告者が既に単離した様々な転写因子群をプローブとしてtwo-hybrid法によるスクリーニングを行った。その結果、様々なプローブと相互作用する因子が多数単離されたが、その中には肉腫遺伝子としての候補として考えられている因子や自己免疫疾患に関わる核内因子などが単離でき、この方法が医薬品開発の標的因子の単離に有効になり得ることが明らかとなった。 2)医薬品開発スクリーニング系の構築 上に示したtwo-hybridスクリーニング系は転写因子-転写因子間相互作用を検索することができるので、医薬品阻害活性をみる上での有効な系となりうる。また、転写調節因子による転写活性化・不活性化反応系やDNA-転写因子間相互作用を有効に利用した医薬品開発に適する検索系も研究開発中である。
  • 細胞周期因子CCG1の転写因子TEIIDサブユニットとしての役割
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 重点領域研究
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 山本 融; 堀越 正美
     
    細胞周期に関与する因子群については、cyclinやCDKなど様々な因子が知られているが、転写因子として性格づけがなされているものは極めて少ない。そこで、本研究ではTATAボックス結合因子TFIIDのサブユニットのうち、細胞周期G1→S期に働くとされる因子として考えられているCCG1サブユニットの細胞周期における役割を知る目的で、変異CCG1のうちG1→S期の進行を妨げる変異位置を含む領域に注目し、その領域と相互作用する因子群をtwo-hybrid法により単離し、解析を進めることを試みた。 その結果、既知因子として細胞質から核にまで幅広く存在する因子および未知因子が単離された。未知因子については、全ヌクレオチド配列の決定を行い、既存の構造モティーフは持たない。疎水性領域を含む因子であることがわかり、核膜と相互作用し、転写調節に関わることが示唆されている。サザンブロッティング法により、あまりサイズの大きくないユニーク遺伝子であること、また、ノザンブロッティング法により、全細胞に普遍的に存在する因子であることもわかった。更にパン酵母を用いた転写反応系において、この因子と転写装置との間に相互作用が起こると転写活性が起こることも示され、転写因子であることが強く示唆された。現在、それらの因子について、その細胞内局在性の検討、CCG1との分子間相互作用解析および様々な転写調節系における機能解析を進めているところである。
  • TFIID内Bromodomainの機能解析と相互作用因子の探索
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 一般研究(C)
    研究期間 : 1994年 -1994年 
    代表者 : 山本 融; 堀越 正美
     
    TATAボックス結合因子TFIIDは様々な転写調節因子との相互作用に関与し、転写開始調節反応をコントロールしていると考えられる。本研究では、TFIIDサブユニットのうちCCG1と名付けられたG1→S期において細胞周期機能活性を有するサブユニット内に存在し、機能が未だ不明であるBromodomainの働きを理解する目的で研究を進めた。この構造ドメインは様々な転写調節系で機能すると考えられるグローバルな転写因子中に比較的よく見い出されるものであるが、いずれのBromodomainについてもその機能的役割は明らかにされていない。そこで、まずTFIIDサブユニットCCG1内のBromodomainと相互作用する因子の候補をtwo-hybrid法によって、スクリーニングし、様々な因子群を単離した。数種類の異なる因子が単離されたが、そのうち一つはすでにパン酵母で遺伝学的に単離されていたものであった。その因子はクロマチン転写に関与し、転写抑制状態を排除する働きを有していると考えられているが、明確な機能が示されていない因子である。現在、Bromodomainとその因子との分子間相互作用の解析および様々な転写調節系を用いた機能解析を進めている。今後得られるであろう結果は、クロマチン転写における抑制状態から脱抑制状態への移行に関与する因子群を中心とした転写調節機構の新局面を切り開いていくものと期待される。

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