実際のコミュニケーションに役立つ英文法例文のあり方についての研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2021年04月 -2024年03月
代表者 : 中住 幸治
これまで英文法例文は軽視される傾向にあり質的条件も未確立であった。そのため2020年度までは英文法指導に適した例文条件とその効果に関する理論の構築などを行った。本研究ではその成果を基盤として、「口頭(話す・聞く)・筆記(書く・読む)」、さらに「やり取り(interaction)・発表 (production)」という、英語コミュニケーションにおいてより具体的な状況で使用・応用できる英文法例文の質的条件等について、文法事項別にさらに深く掘り下げて理論づける。その中には文脈の中の英文法を意識した海外の英語学習教授(以後ELT)教材も精査・分析しその結果も取り入れる。これにより、学校現場でも英文法例文を「コミュニケーションでの活用」のためのインプット材料、という観点で捉えることが容易になり、学習者も英文法例文を単に文法理解や暗記のためではなく、自己発信や相手のより深い理解に役立つ材料として活用する意識が活性化され、自律的学習の促進にもつながることが期待できる。
2021年度は初年度でもあるためこれまでのデータを「口頭・筆記」「やり取り・発表」さらに「言語の使用場面・言語の働き」という観点で見直すとともに分析上必要なデータを付加する作業を進めた。それとともに新課程検定教科書に関する情報入手を進めた。現時点では、「英文法」への比重が旧版より減少傾向の教科書が見られることや、「言語の機能」に焦点を当てている教科書が数多く見られる点、等が特徴として挙げられる。