社会教育・福祉・予防医療の連携とコミュニティ・エンパワーメントの実証的比較研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2018年04月 -2023年03月
代表者 : 松田 武雄; 辻 浩; 飯島 勝矢; 宮崎 隆志; 河野 明日香; 前野 有佳里; 上野 景三; 石井山 竜平; 岡 幸江; 藤村 好美; 肖 蘭; 李 正連; 大串 隆吉
本年度で最も大きな研究実績は、『社会教育と福祉と地域づくりをつなぐ』(大学教育出版、2019年3月)と題する単行本を刊行したことである。本の出版のために調査し、検討会を開き、年度末に刊行した。
日本の地域調査は、新たな事例を発掘して、取り組みが進んだ。まず島根県松江市の調査を引き続き行い、特に公民館に地区社会福祉協議会が設置されて、社会教育と地域福祉が一体となって地域づくりが行われている実態を明らかにした。考察した論文は、前記の単行本に掲載した。関連して福岡県大牟田市も、公民館に地区社会福祉協議会が設置されており、生涯学習課、地域コミュニティ推進課と2つの公民館を調査し、松江市と比較した。そのほか福岡市花畑公民館では、地域包括支援センターと連携して活動に取り組んでおり、その活動の様子を調査した。また、沖縄県那覇市の指定管理者制度を導入している2つの公民館について、地域包括支援センターや地域づくりとの関連を調査した。
予防医療との連携については、松本市で、フレイル予防と公民館との連携に取り組む試行的実践の可能性を追求するために、松本市の生涯学習課と地域づくり課および松本市歯科医師会と協議したが、実現には至っていない。福岡県飯塚市では、フレイル予防の実践を早くから取り組んでおり、公民館との連携を探るために調査した。
本年度は予算の関係で海外の調査はほとんどしないという計画であったが、カナダのトロントのヨーク大学付属難民研究センターで開催された難民支援サマーコースに参加し、その内容について調査した。サマーコースの概要とその考察については、前記の単行本に掲載した。
以上、本年度は海外の調査にあまり取り組めなかったが、これまでの調査研究の成果を単行本にまとめることができたのは大きな成果であった。また、『社会教育と福祉とコミュニティ支援の比較研究』第2集を刊行した。