ベルクソン『時間と自由』の総合的研究―国際協働を型とする西洋哲学研究の深化
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2019年04月 -2022年03月
代表者 : 平井 靖史; 三宅 岳史; 杉村 靖彦; 村山 達也; 合田 正人; 安孫子 信; 檜垣 立哉; 藤田 尚志; 近藤 和敬
2019年度は、各分科会での活動に加え、大きな成果として、国内外で開催した国際的なワークショップによって、新しい国際協働体制を構築しつつ 具体的個別論点を深めることができた。
具体的には東京にてフランス人研究者二名を招いた「ベルクソンにおける持続とその数学的射程」(9/29、東京大学)、数理生物学や分析哲学などを含む新しい学際的なベルクソン研究を謳った「Physical Time, Biological Time: Bergsonism Today」(10/24-25、トゥールーズ大学)、記憶の分析哲学とベルクソンの記憶理論の専門的なレベルでのコラボレーションとなった「Remembering: Analytic and Bergsonian Approaches」(10/28-29、グルノーブル大学)、国際ベルクソン協会主催の新講義録刊行記念ワークショップ(11/29、パリ、コレージュ・ド・フランス)など、学際的な広がりを持つ海外の研究者たちとの交流が一段深いレベルに達したと言える。
その証として、2019年11月に発足したグローバル・ベルクソン・プロジェクト(GBP)による全世界規模研究網の増強に中心的な役割を果たすことになった点や、グルノーブル記憶の哲学センター(CPM)のメンバーと 、今後の研究協力として第二弾のワークショップの開催にむけてフランス国内の競争的資金への共同申請を行うなど、これまでにない国際協力関係を築くに至ったことが特筆できる。
他方で、年度末に予定していた日仏哲学会におけるワークショップ「ベルクソン『試論』の思想史的ポテンシャルを探る」、またロンドンにて 開催を準備してきた二日間のワークショップ「Time, Freedom, and Creativity」については、新型コロナウイルスの影響により開催を断念せざるを得なかったのが悔やまれる点である。