世代間正義と民主主義の緊張関係についての法理論的・法制度論的考察
日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2014年04月 -2018年03月
代表者 : 毛利 透; 土井 真一; 曽我部 真裕; 尾形 健; 岸野 薫; 片桐 直人
まず、ジョン・ロールズの正義論において世代間正義の占める意義を検討した。世代間正義の観点から、市民的不服従の許容性について格別の考慮が求められることになるとの指摘は、世代間正義と民主主義の関係を考えるうえで、大変示唆的である。
世代間正義の観点から代表民主政に制度的変革を迫るべきかどうかという重大な問題については、ドイツでの議論を参考にして詳しく考察を行った。この結果、制度的改革で政治に長期的視点を導入するという試みには大きな難点があるといわざるを得ないことが分かった。さらに、財政赤字の限界を憲法上定めるといった手法にも、実効性に加えてその政策的有用性について疑問が残ることが分かった。