DNA合成および低酸素イメージングにテクスチャ解析を応用した脳腫瘍の病態評価研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2019年04月 -2023年03月
代表者 : 山本 由佳; 久冨 信之; 西山 佳宏; 豊原 潤; 畠山 哲宗; 則兼 敬志
低酸素イメージング用薬剤である18F-fluoromisonidazole(FMISO)を用いたPET検査は腫瘍内低酸素状態を非侵襲的に評価することが出来る。悪性腫瘍における低酸素環境は癌細胞の増殖分化および転移・浸潤を助長するとされ、悪性度評価に有用である。また、低酸素環境は化学放射線療法において治療抵抗性を示す一つの要因と考えられており、治療効果予測におけるバイオマーカーとしての役割も期待される。従来の半定量的指標とテクスチャ解析指標を併用することで、悪性度、遺伝子変異予測、予後予測、治療薬の反応性などの判断の向上ができるか否かを明らかにする。
F-18 FMISO PETを新鮮例の脳腫瘍患者71名に実施した。PETの不均一性評価として、テクスチャ解析による6種類のパラメータ(homogeneity, entropy, short-run emphasis(SRE), long-run emphasis (LRE), low-gray-level-zone emphasis (LGZE), high-gray-level-zone emphasis (HGZE)) を測定した。予後評価として生存率を求めた。その結果、平均生存日数は521日であった。4種類のパラメータ(homogeneity (p<0.04),entropy (p<0.03),SRE (p<0.02), HGZE (p<0.004)において、生存率における単変量解析で有意差をみとめた。
従って、F-18 FMISO PETのテクスチャ解析から求められる指標は、予後評価において有用である可能性が示唆された。