研究者データベース

髙橋弘雄 (タカハシ ヒロオ)

        
    医学部 医学科 
  • 講師
Last Updated :2025/04/19

研究者情報

学位

  • 博士(理学)(総合研究大学院大学)

J-Global ID

プロフィール

  • 神経回路のがどのように形成され、維持されているのか?という点に興味を持ち、ニワトリ視覚系やマウス嗅覚系に関する研究を行ってきました。現在は、脳梗塞が起こった時に、神経細胞を守るために働く分子メカニズムに興味を持ち、研究を行っています。

研究キーワード

  • 包括脳ネットワーク   Pax6   嗅細胞   分化   BMPシグナル   発生・分化   領域特異性   神経科学   ノックインマウス   嗅覚系   レンチウイルス   グアニル酸シクラーゼ   ニューロスフェア   炭酸脱水酵素   CO2   GFP   成体神経新生   神経幹細胞   再生医療   樹状突起   シングルセルマイクロアレイ   嗅球介在ニューロン   in vitro系   嗅覚神経系   5T4   移植   

研究分野

  • ライフサイエンス / 神経科学一般
  • ライフサイエンス / 発生生物学

経歴

  • 2022年01月 - 現在  香川大学医学部 分子神経生物学講師
  • 2018年10月 - 2021年12月  香川大学医学部 分子神経生物学助教
  • 2017年03月 - 2018年09月  奈良県立医科大学 脳神経システム医科学分野講師
  • 2006年10月 - 2017年02月  奈良県立医科大学 脳神経システム医科学分野助教
  • 2003年10月 - 2006年09月  基礎生物学研究所 統合神経生物学研究部門研究員
  • 2003年09月  総合研究大学院大学博士課程修了理学博士

学歴

  • 2000年04月 - 2003年09月   総合研究大学院大学   生命科学研究科   基礎生物学専攻

所属学協会

  • 日本味と匂学会   日本分子生物学会   日本神経科学学会   

研究活動情報

論文

MISC

  • シナプス形成抑制因子MDGA1の欠失による精神神経疾患様行動異常と、これを抑止する薬剤の探索
    多田 篤史; 田之上 優; 黒川 直弘; 津島 希海; 尾嶋 大喜; Hossain MD Razib; 小坂 信二; 芳地 一; 窪田 剛志; 高橋 弘雄; 岸本 泰司; 山本 融 日本薬学会年会要旨集 140年会 28P -am125 2020年03月
  • A specific subtype of olfactory bulb interneurons is necessary for odor detection and odor-background segregation
    Hiroo Takahashi; Sei-ichi Yoshihara; Yoichi Ogawa; Ryo Asahina; Tatsuro Kitano; Akio Tsuboi CHEMICAL SENSES 41 (9) E148 -E148 2016年11月
  • Sei-ichi Yoshihara; Hiroo Takahashi; Akio Tsuboi FRONTIERS IN NEUROSCIENCE 9 2016年01月
  • 嗅覚系におけるCO₂センシングの分子機構 (特集 バイオセンサ)
    高橋 弘雄; 坪井 昭夫 におい・かおり環境学会誌 46 (3) 209 -217 2015年05月
  • Hiroo Takahashi; Sei-Ichi Yoshihara; Ryo Asahina; Yoshiki Tamada; Akio Tsuboi Electroporation Methods in Neuroscience 93 -103 2015年03月 [査読有り]
  • 転写因子Npas4による感覚入力依存的な嗅球介在ニューロンのシナプス形成の分子機構
    吉原誠一; 高橋弘雄; 西村信城; 木下雅仁; 朝比奈諒; 日比陽子; 永井拓; 山田清文; 坪井昭夫 日本分子生物学会年会プログラム・要旨集(Web) 37th 2014年
  • Npas4 regulates the expression of Mdm2 that ubiquitinates Dcx to remodel dendritic spines in olfactory bulb interneurons after sensory experience.
    Yoshihara S; Takahashi H; Nishimura N; Kinoshita M; Asahina R; Kitsuki M; Tatsumi K; Hibi Y; Hirai H; Nagai T; Yamada K; Tsuboi A Cell Rep 8 1-15 2014年 [査読有り]
  • 嗅球介在ニューロンによる感覚入力依存的な神経回路再編の分子機構
    吉原 誠一; 高橋 弘雄; 平井 宏和; 吉原 良浩; 森 憲作; Stern Peter L.; 坪井 昭夫 Journal of Nara Medical Association 64 (1・2・3) 46 -47 2013年06月
  • 食べ物の匂いにより心地良さが誘起される脳内神経回路の解明
    坪井 昭夫; 吉原 誠一; 高橋 弘雄 食に関する助成研究調査報告書 (26) 1 -5 2013年
  • Sei-ichi Yoshihara; Hiroo Takahashi; Kensaku Mori; Peter L. Stern; Akio Tsuboi INTERNATIONAL JOURNAL OF DEVELOPMENTAL NEUROSCIENCE 30 (8) 684 -684 2012年12月
  • 嗅覚系における神経回路形成とCO2センシングの分子機構
    高橋弘雄; 坪井昭夫 日本応用酵素協会誌 (46) 23-30 2012年02月
  • 嗅覚・味覚研究の最前線—現状と展望—脳における匂い感覚地図の形成メカニズム
    高橋弘雄; 坪井昭夫 Foods & Food Ingred J Jpn 216 (2) 100-106 -106 2011年05月
  • Sei-ichi Yoshihara; Hiroo Takahashi; Nobushiro Nishimura; Masahito Kinoshita; Kensaku Mori; Peter L. Stern; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 71 E239 -E239 2011年
  • Akio Tsuboi; Hiroo Takahashi; Kensaku Mori; Peter L. Stern; Sei-ichi Yoshihara NEUROSCIENCE RESEARCH 71 E33 -E33 2011年
  • Hiroo Takahashi; Sei-ichi Yoshihara; Hitoki Nanaura; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 71 E239 -E239 2011年
  • Hiroo Takahashi; Hitoki Nanaura; Sei-ichi Yoshihara; Takeshi Imai; Junzo Hirono; Takaaki Sato; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 68 E98 -E98 2010年
  • Seiichi Yoshihara; Nobushiro Nishimura; Hiroo Takahashi; Kensaku Mori; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 68 E92 -E92 2010年
  • M. Noda; H. Takahashi; H. Sakuta Encyclopedia of Neuroscience 199 -204 2010年
  • 脳における匂い感覚地図の形成メカニズム
    高橋 弘雄; 吉原 誠一; 坪井 昭夫 Aroma research 11 (3) 224 -229 2010年
  • Seiichi Yoshihara; Hiroo Takahashi; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 65 S44 -S45 2009年
  • Hiroo Takahashi; Sei-ichi Yoshihara; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 65 S71 -S71 2009年
  • Molecular Mechanisms Underlying Formation of the Odor Map in the Mouse Brain
    Hiroo Takahashi; Seiichi Yoshihara; Akio Tsuboi CHEMICAL SENSES 33 (8) S153 -S153 2008年10月
  • Characterization of neural circuit formation in the mouse olfactory system by in utero gene transfer with lentiviral vector and electroporation
    Senchi Yoshihara; Hiroo Takahashi; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 61 S160 -S160 2008年
  • Molecular mechanisms underlying formation of the odor map in the mouse brain
    Akio Tsuboi; Hiroo Takahashi; Seiichi Yoshihara NEUROSCIENCE RESEARCH 61 S23 -S23 2008年
  • Molecular, mechanisms underlying formation of the odor map in the mouse brain
    Hiroo Takahashi; Sei-ichi Yoshihara; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 61 S161 -S161 2008年
  • 網膜視蓋投射系におけるトポグラフィックな神経結合形成の分子機構
    高橋弘雄; 坪井昭夫 J Nara Med Assoc 58 (5/6) 147-154 -154 2007年12月
  • Involvement of molecules in sub-areal expression of odorant receptor genes in the most ventro-lateral zone of the mouse olfactory epithelium
    Hiroo Takahashi; Sei-ichi Yoshihara; Akio Tsuboi NEUROSCIENCE RESEARCH 58 S147 -S147 2007年
  • Eph receptors are negatively controlled by protein tyrosine phosphatase receptor type O
    Takafumi Shintani; Masaru Ihara; Hiraki Sakuta; Hiroo Takahashi; Ikuko Watakabe; Masaharu Noda NEUROSCIENCE RESEARCH 55 S183 -S183 2006年
  • Role of BMP2 in retinal patterning and retino-tectal projection
    Hiraki Sakuta; Hiroo Takahashi; Takafumi Shintani; Kazuma Etani; Masaharu Noda NEUROSCIENCE RESEARCH 55 S238 -S238 2006年
  • CBF1 controls the retinotectal topographical map along the anteroposterior axis through multiple mechanisms (vol 130, pg 5203, 2003)
    H Takahashi; T Shintani; H Sakuta; M Noda DEVELOPMENT 130 (22) 5553 -5553 2003年11月
  • トランスグルタミナーゼの細胞表面での存在
    古宮徳子; 高橋弘雄; 斉藤佑尚 生化学 72 (8) 802 2000年08月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 脳梗塞から脳を守る分子メカニズムの制御機構
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 高橋 弘雄
  • 脳梗塞の発症初期に発現する転写因子Npas4が神経細胞死を防ぐ分子機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2022年04月 -2025年03月 
    代表者 : 坪井 昭夫; 高橋 弘雄; 森 英一朗
  • 内在性の神経回路編成機構を用いた革新的な脳梗塞治療法の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年06月 -2023年03月 
    代表者 : 坪井 昭夫; 高橋 弘雄; 森 英一朗
     
    本研究において、Npas4の機能を解析する事により、脳梗塞後に生じるニューロンの細胞死を抑制する分子メカニズムを解明する。 A)脳梗塞により発現するNpas4の初代培養ニューロンを用いた機能解析 B)脳梗塞により発現するNpas4の標的遺伝子の同定:①脳梗塞手術2時間後に、発現が増加する遺伝子を、RNA-seq法で解析した結果、200個の候補遺伝子に絞られた。②虚血様負荷後に、野生型マウスの初代培養ニューロンで発現が増加し、Npas4欠損マウスの初代培養ニューロンで発現が減少する遺伝子を、定量PCR法で解析した結果、15個の候補遺伝子に絞られた。③野生型マウス由来の培養ニューロンで予め遺伝子を過剰発現させた後に、虚血様負荷を与えて細胞死が減少する遺伝子を、ヨウ化プロピジュウム染色で調べた。その結果、Npas4の下流因子として、Ras低分子量Gタンパク質ファミリーに属するGemを同定する事ができた。
    C)Npas4関連因子を用いた脳梗塞の治療:初代培養ニューロンでは、Npas4やGem遺伝子の過剰発現により、ニューロンの細胞死が抑制される。そこで、アデノ随伴ウイルスを用いて、仔マウスの脳にNpas4やGem遺伝子を導入した後、成体マウスに対して脳梗塞手術を行い、梗塞巣のサイズを解析した。その結果、Npas4やGem遺伝子の過剰発現により、梗塞巣のサイズが減少する事がわかった。 D)ヒトiPS細胞由来の脳オルガノイドを用いた解析:「マウスの脳梗塞におけるNpas4の機能がヒトにも敷衍できるのか?」が治療法の開発に際して重要な鍵となる。そこで、ヒト脳オルガノイドに虚血様負荷を与えた場合に、初代培養ニューロンと同様に、Npas4の発現誘導が起こるかどうかを調べた。その結果、Npas4対するヒトオーソログ遺伝子が、ヒト脳オルガノイドでも発現誘導される事が明らかになった。
  • 神経活動依存的に発現する転写因子Npas4を用いた革新的な脳梗塞治療法の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 坪井 昭夫; 高橋 弘雄; 森 英一朗
     
    本研究では、脳梗塞の発症初期にNpas4がニューロンの細胞死を抑制し生存を促進する内在性の分子機構を解明する共に、その革新的な治療法の開発に繋げる。 A)脳梗塞により発現するNpas4に関する初代培養細胞を用いた解析 B)脳梗塞により発現するNpas4の標的遺伝子の同定:脳梗塞による虚血時の際に、転写因子Npas4は神経細胞の生存に必須な因子であるが、転写因子をターゲットとした創薬はその作用点が多岐にわたる可能性が懸念された。そこで、脳梗塞モデルマウスを用いて、脳梗塞手術後に、梗塞巣の境界領域で発現が変化する遺伝子群(200個)の中から、Npas4の下流で働く遺伝子を、RNAシークエンシングにより探索した結果、15個の候補遺伝子が得られた。15個の各々の候補遺伝子を強制発現させた後に、マウス初代培養ニューロンに虚血様負荷を与えた時に、細胞死を減少させるものを探した。その結果、Npas4の下流遺伝子のGemを同定することに成功した。そこで現在、Gemノックアウトマウスを作製し、脳梗塞手術を行い、梗塞巣のサイズを調べている。
    C)Npas4関連因子を用いた脳梗塞の治療法の開発 D)ヒトiPS細胞由来の脳オルガノイドを用いた解析:「マウスの脳梗塞におけるNpas4の機能がヒトにも敷衍できるのか?」が治療法の開発に際して重要な鍵となる。研究分担者の森英一朗は、ヒトiPS細胞を単一の細胞ではなく、複数の細胞からなるオルガノイド(臓器様細胞塊)に分化させることを試み、最近、三次元培養系を駆使して、大脳皮質オルガノイドに分化させることに成功した。そこで、ヒト脳オルガノイドに虚血様負荷を与えた場合に、マウス初代培養ニューロンと同様に、Npas4遺伝子の発現誘導が起こるかどうかを調べた。その結果、ヒト脳オルガノイドにおいて、Npas4のヒトオーソログ遺伝子が誘導されることがわかった。
  • 神経活動依存的な転写因子Npas4が脳梗塞から脳を守るメカニズムの解明
    文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 高橋弘雄
  • 成体新生ニューロンによる神経活動依存的な回路再編機構とその生理的意義の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 坪井 昭夫; 高橋 弘雄; 吉原 誠一
     
    申請者らはこれまでに、匂い情報を処理している嗅球介在ニューロン(傍糸球細胞と顆粒細胞)の中でも、顆粒細胞のサブタイプが発達する際に、1回膜貫通型糖蛋白質5T4を匂い刺激に応じて産生することにより、樹状突起の枝分れを促進して、匂いを感じる度合いを高めていることを明らかにした(J Neurosci 36, 8210, 2016)。そこで本研究では、5T4遺伝子を欠損した顆粒細胞のサブタイプでは、他の神経細胞と間のシナプス結合が減少しており、その結果、匂いの検出感度が100倍も低下し、2種類の全く異なる匂いを識別できないことを明らかにした(J Neurosci 36, 8210, 2016)。
  • 滑脳症及び精神発達遅滞原因遺伝子Arxによる介在ニューロン移動制御機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2018年03月 
    代表者 : 吉原 誠一; 高橋 弘雄
     
    マウス嗅球介在ニューロンは成体においても常に新生されRMSと呼ばれる経路を通り嗅球へ到達して新たな神経回路を形成している。滑脳症の原因遺伝子であるArx遺伝子の嗅球介在ニューロンにおける機能を明らかにするために、レンチウイルスを用いてArx遺伝子の機能を抑制すると嗅球介在ニューロンの移動に異常が見られた。このことから新生ニューロンの移動にArx遺伝子が必要な遺伝子であることが明らかになった。さらにArx遺伝子の下流において新生ニューロンの移動を制御する遺伝子を探索するために、野生型とArx遺伝子欠損マウスの嗅球においてRNA Seqによる発現比較解析を行った。解析の結果Arx遺伝子欠損マウスの嗅球においていくつかの膜タンパク質や分泌分子の発現の減少が見られた。これらの遺伝子についてin situ hybridization法を用いて野生型とArx遺伝子欠損マウスの嗅球において実際の発現パターンの解析を行った。解析の結果、実際にいくつかの膜タンパク質や分泌分子の遺伝子についてはArx遺伝子欠損マウスの嗅球介在ニューロンにおいて発現量の減少が観察された。
  • 成体神経新生を利用した脳血管障害の新規治療法の創出
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 坪井 昭夫; 高橋 弘雄; 吉原 誠一; 藤岡 政行
     
    申請者らは、中大脳動脈閉塞手術を用いて脳梗塞モデルマウスを作製し、梗塞2時間後の大脳皮質における梗塞巣との境界領域で発現が変化する遺伝子を、RNAシークエンシングによりスクリーニングした。そして、梗塞巣の境界領域で発現が増加する27個の遺伝子をISHにより、絞り込んだ。これらの中でも、神経活動依存的な転写因子Npas4は大脳皮質における興奮性ニューロンで顕著に発現誘導され、梗塞巣の境界領域に沿うような発現パターンを示した。更に詳細に解析した結果、Npas4やその関連因子は、健常時のみならず障害時においても、ニューロンの発達や生存を促進することで、神経回路の再建に関与している可能性が示唆された。
  • 新生嗅球介在ニューロンによる嗅覚行動の制御機構の解析
    文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2015年04月 -2017年03月 
    代表者 : 高橋弘雄
  • 新生嗅球介在ニューロンの神経回路再編機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 吉原 誠一; 高橋 弘雄; 坪井 昭夫
     
    嗅球介在ニューロンにおいて感覚入力依存的な嗅球神経回路再編の分子機構の解明を目指した。その結果、嗅球顆粒細胞において転写因子Npas4を過剰発現すると、樹状突起のスパイン密度は増加するのに対してNpas4をノックダウンやノックアウトすると、樹状突起のスパイン密度は顕著に減少していた。さらに、Npsa4はMdm2を介して、スパイン形成分子であるDcxのユビキチン化による分解を調節することで、嗅球顆粒細胞のスパイン密度を制御していることが明らかになった。またNpas4遺伝子はDcxのタンパク質合成を抑制するmicroRNAの発現を抑制的に制御していることが明らかになった。
  • 嗅球における匂い経験依存的な神経回路再編の分子機構
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 坪井 昭夫; 吉原 誠一; 高橋 弘雄; 駒井 章治
     
    嗅球介在ニューロンは、胎生期のみならず成体期でも常に新生され、既存の神経回路に編入されている。また嗅球の神経回路は匂い経験に依存して再編されると考えられているが、その分子機構は不明である。私共はこれ迄に、匂い経験依存的な介在ニューロンの樹状突起の発達やスパインの形成に関与する膜蛋白質5T4や転写因子Npas4を同定した。そこで本研究では、嗅球介在ニューロンの樹状突起において、Npas4がその発現量に応じて、 Mdm2のユビキチン化を介して、微小管結合蛋白質のダブルコルチンを分解することにより、スパイン形成を制御していることを明らかにした(Cell Reports, 8, 843, 2014)。
  • 嗅覚における新規な油センシングの分子機構
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 坪井 昭夫; 高橋 弘雄; 吉原 誠一
     
    動物が油を感じるメカニズムに関しては、味覚の油センサーの報告はあるものの、嗅覚による油の受容の研究はこれ迄全く行われていない。申請者は、自然界で動物が効率的に油を摂取するためには、嗅覚を用いた油の匂いの感知が必要であると推測した。本研究では、不飽和長鎖脂肪酸に応答する嗅細胞とセンサー分子に着目し、嗅覚における新規な油センシングの分子機構の解明を目指した。マウスの行動実験から、Caイメージングによる嗅細胞の匂い応答の解析までを行い、油や不飽和長鎖脂肪酸の種類による嗅覚応答の相違を明らかにし。申請者が見出した油センサー細胞で特異的に発現する遺伝子を網羅的に探索し、油の匂いセンサーの機能を解析した。
  • 嗅球の神経回路新生を支える血管-神経相互作用の解析
    文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 高橋弘雄
  • 成体嗅球介在ニューロンの神経活動依存的発達機構の解析
    日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 吉原 誠一; 高橋 弘雄; 坪井 昭夫
     
    感覚入力は網膜、大脳皮質及び嗅球などの脳の様々な神経回路形成に必要であることが報告されてきているがその分子メカニズムについては不明な点が多い。本研究では成体においても常に新生され新たな神経回路を形成し続けている嗅球介在ニューロンの神経活動依存的な発達の分子機構について解析を行った。片鼻を閉じて匂い刺激を遮断すると嗅球介在ニューロンの樹状突起の枝分かれの長さが短くなり、枝分かれの数が減少することが明らかになった。さらに、DNA マイクロアレイ及び in situ hybridization による解析の結果、ロイシンリッチリピートを持った膜タンパク質である5T4 の発現が嗅球介在ニューロンにおいて神経活動依存的に制御されていることが明らかになった。レンチウイルスを用いて 5T4 を嗅球介在ニューロンにおいて強制発現すると嗅球介在ニューロンの樹状突起の枝分かれが促進された。また、5T4 ノックアウトマウスにおいては嗅球介在ニューロンの樹状突起の枝分かれが野生型に比べて減少していた。これらの結果から 5T4分子は嗅球介在ニューロンにおいて神経活動依存的に樹状突起の枝分かれを制御する分子であることが明らかになった。
  • 新生される嗅球介在ニューロンの移動を支える血管―神経相互作用の解析
    文部科学省:科学研究費補助金(新学術領域研究(研究領域提案型))
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 高橋弘雄
     
    匂いの情報処理を行う嗅球の介在ニューロンは、神経細胞としては例外的に、成体の脳内でも新生することが知られる。新たに生まれた細胞が、生涯に渡って嗅球の既存の神経回路へと組み込まれている。そこで本研究は、成体における嗅球の神経回路新生が、血管と神経とのいかなる相互作用により支えられているのか?という点に着目して解析を行った。 嗅球内を移動中の介在ニューロンと周囲の血管との関係を明らかとするため、新生介在ニューロンをレンチウイルスにより蛍光ラベルし、血管を蛍光色素でラベルして、嗅球のスライス培養により、経時変化を観察した。解析の結果、嗅球内を目的地に向けて移動する新生介在ニューロンには、①血管に沿って移動する細胞と、②血管から離れて移動する細胞がいることが明らかとなった。さらに血管に接している新生介在ニューロンの割合を定量した結果、嗅球の周辺部分と比較して、嗅球内側の顆粒細胞層では、血管に接する新生ニューロンの数が有意に少ないことが分かった。これらの結果から、嗅球内の位置や最終的な移動先の違いにより、介在ニューロンの移動方法が異なる可能性が示唆された。さらに、嗅球介在ニューロンの顆粒細胞で特異的にEphAレセプターが発現しており、新生顆粒細胞の移動の制御に必須の役割を果たすことを明らかとした。 また、嗅球の神経活動が、血管新生に及ぼす影響についても検討を行った。片側の鼻孔を閉じて神経活動を低下させたマウスでは、鼻腔閉塞を行った側の嗅球で、新生介在ニューロンの数が減少し、その発達も阻害される。興味深いことに私達は、鼻腔閉塞した嗅球で、血管ネットワークの発達が有意に阻害されることを見出した。このような神経活動依存的な血管新生の制御メカニズムとして、嗅球の神経活動依存的に血管形成因子VEGFの発現が制御されることを見出した。
  • マウス嗅覚系におけるCO2センサー細胞の発達と機能の分子機構
    文部科学省:科学研究費補助金(若手研究(B))
    研究期間 : 2010年 -2011年 
    代表者 : 高橋弘雄
     
    マウスは嗅覚により大気中のCO_2濃度の微妙な変化を感知して、忌避的に行動することが知られている。これまでに嗅上皮に存在するCO_2センサー細胞の実体として、炭酸脱水酵素をセンサーとして持つ嗅細胞サブタイプの存在が報告されていた。私達の研究により、マウス嗅上皮にはさらに複数種類の、新規CO_2応答細胞が存在することが明らかとなった。マウスはこれらの細胞を組み合わせることにより、CO_2濃度やその原因となる周囲の状況を判断していると考えられる。
  • マウス嗅覚系におけるCO2センサーの新規動作機構の解明
    文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究)
    研究期間 : 2009年 -2010年 
    代表者 : 坪井昭夫; 吉原誠一; 高橋弘雄
     
    マウス嗅上皮の腹側部には、嗅覚受容体の代わりに、炭酸脱水酵素Car2をセンサーとして発現する特殊な嗅細胞サブタイプ(Car2細胞と略称)が存在し、大気中のCO2を感知している。通常の嗅細胞が、匂い情報をcAMPシグナルへと変換するのに対して、Car2細胞では、Car2により生成された重炭酸イオンが受容体型グアニル酸シクラーゼGC-DのcGMP経路を活性化する。また興味深いことに、GC-D自身が尿に含まれるペプチド(guanylin, uroguanylin)のレセプターとして働くことも報告されている。通常の嗅細胞が単一の嗅覚受容体遺伝子を発現するのに対して、Car2細胞はCar2とGC-Dという2種類の異なるセンサーと独自のcGMPシグナル経路を持ち、CO2と尿からの情報を細胞レベルで統合していると予想される。私共は発生期から成体に至るまで、形態形成因子BMP7と転写因子Pax6がCar2細胞で特異的に発現していることを見出した。そこで私共は、レンチウイルスの発現系を用いて、新生仔のマウス嗅上皮へBMP7やPax6遺伝子を導入して、6日後に解析した。Pax6を嗅細胞で異所発現させると、興味深いことに、通常の嗅細胞で発現しているcAMPシグナル関連分子の発現が抑制されることが分かった。この結果は、Pax6はCar2細胞が通常の嗅細胞に分化することを妨げる負の制御因子として働く可...
  • 嗅覚系における神経幹細胞の嗅細胞への分化と個性獲得の分子機構
    文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(C))
    研究期間 : 2008年 -2010年 
    代表者 : 坪井昭夫; 吉原誠一; 高橋弘雄
     
    嗅細胞は生涯を通して再生されるという神経細胞の中でもユニークな性質を持っており、多様で高感度な匂い感覚がどのようにして生じるのかを研究することは極めて重要である。本研究では先ず、マウスの嗅粘膜を分散した細胞から、ニューロスフェア(嗅神経幹細胞を含む)を形成させ、分化誘導した結果、TuJ1抗体とGFAP抗体で染色される細胞が得られたので、少なくともニューロンとアストロサイトに分化する能力があると考えられる。また嗅細胞と同様に、嗅球の介在ニューロンは、胎生期のみならず成体時においても、常に神経新生や新たな神経回路が生じるというユニークな特徴を持っている。そこで次に、片鼻を閉じた新生仔マウスに関して、レンチウイルスを用いてGFPで標識された嗅球介在ニューロンの形態を調べた結果、鼻を閉じた側のニューロンでは、鼻を開いた側に比べて樹状突起の伸展が未発達であり、シナプス密度も減少していることが判明した。
  • 一次嗅覚神経回路における領域特異性決定の分子機構
    文部科学省:科学研究費補助金(若手研究(B))
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 高橋弘雄
     
    発生期の特異的な神経回路網の形成は、脳の複雑な機能を支える基盤である。本研究は、特異的神経投射のモデル系である一次嗅覚神経回路において、領域に応じた嗅細胞の分化機構を明らかにすることを目的とした。本研究により、形態形成因子であるBMPファミリーの複数の分子が匂いの感知を行う嗅上皮において、特徴的な発現パターンを示すことが明らかとなった。特に、BMP7は転写因子Pax6と共に、大気中のCO2を感知する特殊な嗅細胞サブタイプCar2細胞において特異的発現を示した。レンチウイルスを用いた機能解析により、Pax6はCar2細胞のシグナル経路の確立に寄与することが明らかとなった。
  • 網膜内領域特異化の分子機構
    文部科学省:科学研究費補助金(若手研究(B))
    研究期間 : 2005年 -2006年 
    代表者 : 高橋弘雄
     
    我々の以前の研究から、発生初期に網膜前側で領域特異的発現を示す転写因子CBF1は、網膜前側の領域特異化を制御するマスター遺伝子であることが明らかとなっている。本研究では、網膜後側の領域特異化の制御機構の詳細を明らかにすべく、CBF1と同時期に網膜後側で領域特異的発現を示す転写因子CBF2について、その機能解析を行った。in ovo electroporation法によるCBF2の網膜での異所的発現実験の結果、網膜前側において領域特異的発現を示すCBF1,SOHo1,GH6の発現は抑制され、逆に網膜後側におけるEphA3の発現が促進されることを明らかにした。この結果は、CBF2の異所的発現により網膜の前側が後側化した為と考えられ、網膜後側の領域特異性はCBF2によって決定されているものと思われる。また、CBF1はBMPシグナルを抑制的に制御するのに対して、CBF2はVentroptinやBMP2などの二重勾配をもって発現する分子の発現を調節しないことも明らかとした。CBF2の作用機構については、CBF2とEven-skippedの転写抑制ドメインをつないだ抑制型コンストラクト、CBF2とVP16の転写活性化ドメインをつないだ転写活性化型コンストラクト等を用いて下流遺伝子に対する作用を検討した結果、網膜においてCBF2が転写抑制因子として機能していることが明らかとなった。今後は、...

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