身体的インタラクション特性に基づく介護動作生成モデルおよび適用システム
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2021年04月 -2024年03月
代表者 : 神代 充; 今井 宏美; 滝 聖子
2021年度は, まず, 起居を支援する介助を対象に, 熟練介助者と未習熟介助者の支援動作について解析を行った. 解析では, モーションキャプチャ, 磁気式3次元位置計測装置, およびマイクなどを用いて, 介助者の上肢動作, 動作開始や発話のタイミングなどについての計測を行った. また, 被介助者については両肩の移動軌跡について計測を行った. この解析により, 熟練介助者と未習熟介助者とでは, 起居支援での上肢動作が異なっていることが示された. そこで, 熟練介助者による起居の支援動作に基づいて被介助者の両肩の軌跡を再現できる起居支援動作モデルの提案を行った. この動作モデルは移動距離に合わせて両肩の位置や姿勢を変化させるものであり, 動作時間や途中での停止時間などを自由に調整することが可能である.
次に, 接近を伴う手渡し動作についての解析を行った. 解析では, 手渡し側が受け取り側に接近し, 手渡す動作を対象として, 手渡し側の手部動作, 動作の開始や発話のタイミング, および視線方向などの計測を行った. この解析結果から多くの人は接近している間は相手の顔部や胸部を注視し, 手渡しのための手部動作の開始前に注視位置を相手の手部に移すことが示された. そこで, この視線の変更をモデル化し, 視線提示が可能な双腕のロボットに適用することで, 手渡しロボットシステムの構築を行った. そして, このロボットシステムを用いて, ロボットが人間に接近し, ものを手渡す場合での人に好まれるロボットの視線提示について官能評価実験を行った. その結果, ロボットから人への手渡し動作では, ロボットは人に接近中は胸部を注視し, 手部動作を開始する0.6秒前に胸部から手部へ視線を移す視線提示が多くの人に好まれることが示された. また, この視線提示は人同士の手渡し動作での視線と一致するものであった.