Construction of PG & PJ based budgeting system model to promote product innovation
Japan Society for the Promotion of Science:Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
Date (from‐to) : 2017/04 -2022/03
Author : 中村 正伸
製品開発では、製品戦略・製品開発戦略に基づく中長期的な開発計画の中に個別製品開発を位置付けてのイノベーションが求められるが、そのための予算管理を中心とするマネジメント・コントロールの役割は明確でない。そこで中長期的な開発計画に対応するものとしてプログラム(以下PG),個別製品開発に対応するものとしてプロジェクト(以下PJ)を位置付け、それぞれの内容と関係性を整理して予算管理システムを中心とするマネジメント・コントロール・システムのモデル構築を本研究の目的とした。
前年度である2019年度には、経営学全般において、俊敏性を意味するアジリティ、アジャイルの概念が着目される中、PMI(PJマネジメントの知識体系でありグローバルスタンダードとなっているPMBOKの統括団体)日本支部との共同研究により、ITシステム・サービス開発におけるアジャイルPJを念頭にマネジメント・モデルの構築に着手、業績管理システムに加え、メンバー間・職場への信頼や、現場への権限委譲、メンバー間での経営理念の共有、顧客志向の浸透が重要であることが示唆された。
前年度の研究結果を踏まえ、2020年度においては、さらにインタビュー調査を実施、ITシステム・サービス開発を対象に、IT企業実務者、一般事業会社のビジネス部門とIT部門の実務者それぞれにインタビュー調査を行い、定性的研究方法を用いて分析を行った。結果「組織間関係を意識しながらの社内体制整備の必要性」が、特にITシステム・サービス開発においてアジャイルPJを運用していく上では肝要であることを明らかにした。そして今後の検討にあたっては、「企業レベルと現場レベルの双方に着目する必要性」「コーディネーションとコーディネーション間の相互作用」「組織間協働の促進・協働志向の醸成」「取引リスク・取引内容のマネジメント」への着目が重要であることが明らかとなった。